レクイエム―「日本型金融哲学」に殉じた銀行マンたち
伯野 卓彦 (著) NHKが放送した、「日本の群像 再起への20年 第2回 銀行マンの苦闘」を書籍にまとめたもの。 バブル発生からその崩壊後までを、破綻した日本長期信用銀行の行員の証言を元に丹念に追った本です。個人的には、「金融破綻―ドキュメント 佐藤 章 (著)」と並んでバブル期に金融機関でなにが行われたのかを知るには、非常に参考になる本だとおもいます。 時代的にその役割を終えていたと思われた長銀が、その基盤のもろさや様々な要因から、バブル期にノンバンクや不動産融資に邁進し、そして破綻していく様を、現場で実際に不良債権処理を行った人達の証言を元に追っかけています。中にはあまりの激務に過労で死んでしまった長銀行員の話など、涙が出そうになる話もあります。 (余談だが、実際普通預金が少なかった興銀や長銀の収益基盤の弱さは、意外と知られていない。ある元興銀企画部の方が「年次計画を立てるたびに、「この銀行の収益基盤はなんと低いのだろう」と絶望的になった」とおっしゃっていたのが印象に残っている) 個人的にバブルの発生の過程は以下と考えています。 ①農村部や地方などの余剰人員の吸収による高度経済成長の実現と、その枯渇に伴う成長の鈍化(このとき、この鈍化はオイルショックのせいとされた)→②鈍化した成長を押し上げるために資本投資・製品輸出のドライブ→③それに伴う貿易摩擦と過剰流動性の発生→④米による内需拡大要請と、それに対応した政府・日銀によるマネタリーベースの拡大→⑤証券市場の拡大に伴う事業法人のローンに対するニーズの低下、行政指導と業際問題により銀行の商品拡大ができなかったため、銀行は融資のみに資金を振り向けざる得ない状況の拡大→⑥銀行の不動産・ノンバンクへの貸し出し競争→⑦担保不動産の下落に伴うバブル崩壊。 もちろんこれ以外に、銀証の垣根問題や、営々と続いた不動産優遇税制、護送船団方式と日銀枠問題等々様々な要因があると思いますが、大枠のながれとしてはこうしたものだと思います。 私は、バブル崩壊とその後の失われた10年は、戦後50年かけて日本が築きあげた「日本システム」が崩壊していく、その過程だと思っています。 しかしこうした本を読んでいると、日本の資源は、まじめで一生懸命働く、普通のサラリーマンなんだと、(皮肉ではなく)本当にそう思います。 -------------------------------------------------------------- 番外編 攻殻機動隊 (2) 士郎 正宗 (著) しばらくみてなかったら、いつのまにか2巻がでてた。「笑い男」事件シリーズはスカパーでみたのだが、まったく別の展開。しかし久々に読んだら伏線はりまくり、登場人物多すぎでワケワカラン。アトムとか、フィリップ・K・ディックの古典「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(映画版はブレードランナー)と同じ、”人を人たらしめている要素はなんだろう?”という話からどんどん離れて、マ○ア向け(→もともとそうだろ、という突っ込みがありそうだけど、、)をどんどん純化させてるような、、。 まあ、これはこれで楽しめたのでいいと思いますが。
by ttori
| 2007-01-28 09:07
| 本 / CD / TV
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