ハーバードMBA留学記 ~資本主義の士官学校にて~ 岩瀬 大輔 (著)
人気blog”ハーバート留学記”の書籍化。 blogで読んでいたものを、まとめて本で読むと、そのときに気がつかなかった点を再考察できた面白い本です。 何点か。 ・オフショアリングについて 個人的には雇用問題という文脈で捉えていましたが、これまで米国の基盤はBest and Brightestを国に取り込むことにより高成長を支えてきた面があると思います。ところがグローバリゼーション化により、Best and Brightestが世界中に分散され、アメリカへの人材還流・流入がなくなると、国として高成長を維持することができなくなる、という懸念もあるのではないか、と思います。特に最近サーベンス・オクスレー(SOX)法により、金融取引がロンドンなどに流出していることを考えると、この懸念もあながち小さくもないのか、と思います。 ・ファンド資本主義 個人的にフリードマンの、企業経営者はオーナーによって雇われたエージェントであり、富の分配に関しての権限はない、という意見は正論と思います。ただ、株主にそこまでの責任があるのか、国という組織に富を分配する権限を任せておいていいのか、という議論はまだまだ深める必要があると思います。たぶん極端に走ればフリードマンの意見はその通りだとおもいますが、市場は時として間違いを起こします。バランスが大切だと思います。 個人的に筆者と年齢が一緒ということもあり、意見もかなり似通ったところがあり、うんうんうなずきながら読みました。 読んでいて、思い出した事を一つ。 巨大な社会の中で、自分などちっぽけなものだと思います。だからこそ、私は目に届く範囲でみんなに幸せになって欲しい、と思います。これは大学のときの議論で「たとえば、友達の子供が重い心臓病にかかった。手術には1億円かかる。みんなで一生懸命に募金などを募り、一つの命を救った。でも、1億あればアフリカで多くの命を救えたかもしれない。命の価値が同じであれば、どっちがいいのだろう」という議論を思い出します。そのときは、 「残念ながら現在の社会システムは不平等で、コスト負担とベネフィットの分配が公平には行われていない。だけど、今目の前で自分ができることで一つの命を救うことで、将来多くの命を救えるかもしれない。なにより、友人両親を幸せにすることができる」と答えたことを覚えています。 もう一つ。 私は投資として株式(エクイティ)が好きです。 これは努力はいつか報われる、という個人的な価値観があります。多くの人が組織のなかで日々努力していて、総体として社会を形成している中で、ビジネスマンの日々の努力は利益という形、経済成長という結果を生み出すと思います。もちろん馬鹿な経営者によってその努力を無駄にしてしまうことがあるので、ちゃんと選別をする必要がありますが、すくなくとも、競争社会の中で日々優秀な方が一生懸命働いている上場企業の多くは、大きく成長していくと思っています。 時間は一度消費してしまうと二度と戻ってこない、という価値観も同じだなあ、と思います。 ちょっと冗長的になりました(<いつもだろ、という突っ込みが聞こえる、、、)が、同じ世代の人間として、大きく刺激される本でした。
by ttori
| 2006-12-03 13:57
| 本 / CD / TV
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