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投資銀行の裏側

見ていて興味深かったので備忘録。

JPモルガン:信用やスワップ、主要なトレーディング収入源
米銀JPモルガン・チェースは、金利スワップやクレジットなどが同行のトレーディング事業で最大の収入源になっていると明らかにした。通常は非公開とされる内訳を公表することで、大半の米ライバル行と一線を画した。JPモルガンは28日、投資家向けプレゼンテーションで、クレジット取引による収入は標準的な四半期で3億7500万ドル(約300億円)、金利スワップと外国為替のスポット(現物)および先物取引はいずれも3億5000万ドルだと説明した。現物株取引からは約3億2500万ドル、資産担保証券では四半期ベースで3億ドルの収入があるという。一部の欧州の銀行はトレーディング部門内の規模が大きい分野の収入を発表するが、米銀が同事業内の収入構成を数値化することはほとんどない。ウォール街の大手5行ではトレーディング事業の収入が総収入の約4分の1を占める。JPモルガンの2011年のトレーディング収入は202億ドルだった。
2月28日(ブルームバーグ)

世界的トップバンクのJPモルガンの投資銀行部門のトレーディングレベニュー(収入)のざっくりとした内訳が出てたので皆様へー、とかほーとかいいながら見てみましょう。詳細はこちら

FICC世界トップのJPモルガン、昨年のトレーディング収入はトータル202億(約1.6兆円)。うち7割がFICC。資料の7ページめにそのトレーディング事業の概要が出ています。これによると、グローバルでのトレーディング部門のセールスは2500名、トレーダーは約2000名程度*(あとIBバンカーが2000名程度)。特に世界1位のFICC(債券、為替、商品)部門が7割の収益をたたき出しています。この比率はUSのライバル、Goldmanやモルガンスタンレーに比べて株式部門のレベニューが低い(実際資料にはJPモルガンの株式部門のランキングがキャッシュ・エレクトリックで4位と9位で軒並み1位のFICCに比べて低位になっています。
*一般の人は人員が意外と少ない、との印象をもたれるかもしれません。よく話題になるトレーダーなんて、グローバルに多く見積もっても全金融機関で数万人くらいしかいないんだろーなー、と思います。

デスク数(いわゆる商品区分)は110程度。レート(金利)分野ではガバメント(政府債)とか、スワップとか、先物、オプションデスクとか。またコモディティや為替分野でも様々なデスクがあります。これから逆算すると、1デスクあたりの人員はセールス、トレーダー合わせてグローバルで40名程度、レベニュー平均は$180mill(150億程度)、一人当たり4億弱の年レベニューになります。

そして各分野あたりのレベニュー内訳。目を引くのがFXの扱う金額の多さとトレーディングスプレッドの低さ。ただ、JPモルガンは為替分野ではトップバンクですから、為替関連で標準的な四半期で350mill(300億弱)の収入。もっとも稼げている分野はクレジットトレーディング、ついでインタレストレート(金利)スワップ、為替スポット、フォワードデスクとなっており、特にインタレスト・レート(金利)スワップはもっとも”ぶち抜ける”デスクとなっております。

よく話題になる株式分野では現物株があわせて325mill(280億程度)、株デリバティブで200mill(160億)。コモディティはメタル(金属)トレーディングで75mill、エナジートレーディング(原油とかガスとか)で250millであわせて325mill程度。

あとストラクチャードが弱いのは、そういう戦略だったんだろーな、と。特に後半には”高回転トレーディング・ビジネスモデル”と書かれてますので、バランスシートを持たず、顧客フローを集中的に扱い、BSを使わないで細かくスプレッドを抜いていく、そんなビジネスモデルが見えます(とはいってもの、投資銀行のモデルは大概こういう事業モデルを志向してますが、、)。

とりあえず、これから投資銀行にもぐりこもう!とお考えの方には、どこのデスクにもぐりこむといいか、という指針になるのでは。

、、、え?もう遅いって??
# by ttori | 2012-03-05 22:29 | Market(マーケット事件簿)

世界は広い

タイの11月の失業率0・8%
【タイ】タイ統計局がまとめた2011年11月の失業率は0・8%で、同10月の0・6%を上回ったものの、2010年11月の1%は下回った。地域別ではバンコク0・4%(10月0・3%)、中部0・8%(同0・8%)、北部0・5%(同0・7%)、東北部1・2%(同0・3%)、南部0・6%(同0・7%)。
 業種別の就労者数は農林水産業1553万人(10月1428万人)、製造業515万人(同562万人)――など。
newsclip.be 2012/1/11 (13:14)| 主要ニュース 経済

( ゜д゜) ポカーン

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゜д゜)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゜ Д゜) …?!


、、、ちなみに先日発表された12月の失業率は0.4%!だそうです。

ええ、4%でも40%でもありません。0.4%!!!!!

ほら、世界各国の政府・中央銀行の人達!こぞってタイに行くんだ!かれらの政策を学べ!タイは失業なしの完全雇用の世界だ!!!しかもインフレ率も4%程度だぞ!!!

もちろんこれは統計の罠で、タイの失業率はどうも都市部での人員しかカウントされておらず、農村部の余剰人員をカウントしていないとの事。(こちら

とはいえ、都市部だけとはいえ、ほとんど完全雇用はすごい。もちろん農村部から都市部への移動が制限されているから、との説明もあるが、そうはいっても農村部の人はそのままそこにとどまっているとも思えない。この”雇用”というのもいろんな種類があるんだろうが、ただ構造的な失業率(転職のためなどで一時的に職を離れているとか、人員への需要と供給のミスマッチなど)を考えるとそれでもかなり低い失業率とも考えられ。

いろいろ調べてみると、少子化や社会の非効率性(1人でできる所を3人、3人ですることを10人でする)がこの低失業率の原因との指摘もありますが。とはいえ、みんなが働くところがあり、食いっぱぐれない、というのはある種、理想郷なわけで。

私達は競争原理の元で、競争相手に勝つために人員削減も含めて効率化をひたすら追い求め、人の欲望を掻き立て消費を促す世界にすんでるわけですが。

もちろん技術革新はすばらしい。人が生活の中で(金さえだせば)不便さを感じることが少なくなっていく世界の中で、社会の求める姿ってなんだろうか、と思ったりもする。
# by ttori | 2012-02-10 22:25 | News

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


さて年もあらたまったですが、昨年末書こうと思っていた積み残しを。
交付国債「見せかけ財源」 一般会計90兆3000億円 きょう決定
政府は24日、一般会計総額で約90兆3000億円となる2012年度予算案を閣議決定する。当初予算としては、6年ぶりに前年度(92兆4116億円)を下回る。総額が圧縮されるのは、基礎年金の国庫負担財源2兆6000億円を、将来の消費増税を当て込んだ交付国債でまかなうため。実情は借金の先延ばしにすぎず、国債発行の政府目標を守るための「見せかけの財源確保」との声も上がる。
 交付国債は政府が発行するいわば「借用書」。年金積立金を運用する独立行政法人に引き受けてもらい、その分、積立金を取り崩して年金給付に充てる。
 積立金の取り崩し分は、政府が消費税増税の税収分から返却する。交付国債の発行時点で政府は現金を支出しなくてよく、12年度の一般会計予算では歳出に組み込まれず、予算総則に書き込むだけで済む。
 基礎年金の国庫負担分が外れる結果、12年度予算の社会保障費は約26兆3000億円と、前年度の28兆7079億円を下回る見通し。借金の元利払いに充てる国債費以外の政策経費も68兆4000億円程度に抑制される。また、交付国債は通常の国債と異なり、新規発行扱いされないため、12年度予算の新規国債発行も約44兆2000億円と、政府の「約44兆円以下」という発行目標を守れる見通しだ。ただ、将来、消費税増税分から積立金を返却するときは一般会計の歳出となる。政府関係者は「実際には交付国債は国の借金を膨らませており、返済を延期しただけにすぎない」と指摘する。政府は交付国債の発行や償還ルールを定めた法案を来年1月開会の通常国会に提出する方針だが、与野党などの反発で消費税増税が実現しなければ、「公的年金そのものの信頼性が揺らぐ」との懸念も強い。
2011.12.24 05:00


これを見たとき、ああ、ついにルビコンを渡ってしまったか、と思いました。
国債って大まかに二つに分かれていて、赤字国債と建設国債に大別されます。
赤字国債とは文字通り、税収が足りないから新規に発行する国債(国の借金)で、国会とかで「今年は何兆以下に押さえて」どうこうと言っているのはこの赤字国債をいいます。この赤字国債、文字通り税収がないのに借金して支出するもので、発行するときは国会の決議が必要です。現在残高が昨年末で430兆円近くあります。

一方でこれとは別に建設国債というものがあります。これは公共投資を行う時に発行されるもので、道路建設や橋をかけるといったインフラ投資を行うとき、国債を発行し、60年にわたって別会計にして均等償却(一年で60分の1づつ償却)していくものです。ただ、気をつけなければならないのは、60年で償却といっても60年満期の国債でまかなっているのではなく、10年満期などの国債をぐるぐる回して資金調達しています。こちらは昨年末で320兆円近く。

まああえて金融的な言い方をすれば建設国債は投資性借り入れ、赤字国債は消費性借り入れとでも言いましょうか。ただ、国債の発行現場では「これ建設国債ね」「これ赤字国債ね」と分かれているわけではなく、マッタク同じ日本国債で、ただ単に管理上の問題となっています。

さて今回出てきたのが交付国債。
これは上記2つとはマッタク趣旨が違います。

私達の国民年金は私達の老後を支える基礎年金として、日本年金機構(旧社会保険庁)と年金積立金管理運用独立行政法人GPIFが管理運営しています。国民から納付された年金資金と国が税収から拠出する分を合わせてGPIFが管理運営しています。
今回出てきたのは、このGPIFに国が拠出している分をこれまで現金で渡していた(とはいっても赤字国債を発行して)分2兆6000億を交付国債で直接GPIFに拠出することになります。

問題は今回の交付国債がこれまでの枠組みとはマッタク違う管理で出てきたこと。赤字国債を発行するには上記のように国会決議が必要となりますので、お金が足りなければそれなりにやりくりが必要ですし、44兆円以下とかキャップがはめられたりしますが、今回の交付国債はこの枠からも、上記の国債発行ルールからも逸脱*しています。
*政府関係者の方が「どのみち国債を発行して拠出するんだから一緒」といってますが、いったん国会審議やマーケットなどのチェックを働かせるのと抜け道的に借金するのは財政規律という意味で全く違うと思われます。、、、あ、財政規律なんてないからこれだけ国の借金が膨らんだんだから一緒だって?

しかもこの交付国債、市場流動性がありません。換金するには国に直接申請しなければなりません。
「今回一回限り」とはいうものの、政治家は安易なツールとして乱発する(特に税収を上げるために増税してこの交付国債を代替するとしているので)のが目に見えてます。そうすると、GPIFの資産(現時点で120兆近く)は遠くない未来にすべてこの交付国債に置き換わり**、最後は国民への給付そのものが交付国債になる、という笑えない事態が想定されます。
**運用の現場からの視点でいうと、現在GPIFは今年4兆円以上のキャッシュアウト(支払い超)となるといわれています。このうち国からキャッシュで入ってくる予定だった2.4兆円分を、そのまま支払いにまわす予定だったものが換金できない交付国債となると、さらに2.4兆円分の資産を別途売らなければならない事になります。これまで株式の相場下支えを行っている(といってもアロケーション上のリバランスの域を出なかったとは思いますが、、、)GPIFが大幅な売りこしとなる可能性があります。

そもそもなんでこうなったのか(積み立て方式:本人が積み立てたものを運用し、後で年金として払いだすのではなく、賦課方式:足元の加入者の拠出金で支払いを回すといった問題点***も含め)を精査せず、安易な目先の解決策できゅうきゅうとしてこうした奇策で取り繕うとするのを見ると、ますます将来が暗いなあと新年から思う私は根暗ですか、そうですか。
***個人的には地方公務員の給与を下げるとか、支出を切り詰めるのもセットでないとダメだと思ってます。大阪の橋下さんに対する公務員の態度や行動を見ているとはっきり言って腹が立ちます。税収はほっといても入ってくると思っている公務員天国の行く先はギリシャなどで証明済みだと思います。地方公務員の給与(そういうと「良い教員が入ってこなくなる」とか「民間の給与が下がる」とか、全く意味がわからない反論が出てきますが)をその地方の平均給与なみに下げるだけで(例えば地方の民間平均給与が300万のところで地方公務員の平均給与が800万とかのズレを民間なみに引き下げる)かなり支出を抑制できると思われ。まあ公務員の仕事を簡素化して無駄な仕事を削る必要もありますが。
# by ttori | 2012-01-01 08:20 | News

年末あいさつ

本年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

木曜日、いつものメンツとのみ。弁護士の方を中心にバンカーやPEファンドの方、M&Aバンカー、某生保の企画野方やHFセールス、新聞記者の方やベンチャーを立ち上げた方。最近いろいろ逆風が強く久々にあった海外駐在の後輩に一言目に「白髪増えましたね」といわれたりして、思わずヨメにすら言わない愚痴をみんなに言ってしまったりしましたが、とりあえずいけるところまでがんばります。それがこれまで私を育ててくれた人達への恩返しだと思って。

私事ではございますが、もうすぐ第二子が生まれます。
男の子だそうで、ヨメは大変そうですが、楽しみです。
また名前を考えてますが、なかなか難しい。
三井住友銀行

♪今がどんなにやるせなくても明日は今日よりすばらしい♪
ぐっと来ます。この年になってただただ、まっすぐに育ててくれた両親の偉大さが身にしみます。
# by ttori | 2011-12-24 22:37 | CM一考

異端児

異端児_f0005681_1141824.jpgザ・ラストバンカー 西川善文回顧録
著者: 西川善文

元三井住友銀行頭取、郵政公社社長を務め、「ラストバンカー」と呼ばれた西川善文氏の回顧分。経済のど真ん中でディールメーカーとして生きた西川さんの、その舞台裏があかされています。

まず西川さんの生い立ちから。新聞記者になりたかった西川さんがひょんなことから住友銀行に入り、その後住友銀行調査部を経て、安宅産業の破たん処理に奔走、子会社を整理し安宅を伊藤忠に引き取ってもらう(とはいっても全部ではなく一部のみ)件。いわゆる銀行M&Aが堪能できます。安宅産業、イトマン事件、イトマンの破たん処理、住専、そして金融危機と、常に様々な危機に直面し、その対応に走り回った記述は華やかさこそないものの「ディールメーカー」としての手腕が伺えます。
ただ、安宅産業はまだ、「投資に失敗した商社」を救済し経済的影響を減らす、という前向きな話が出ますが、その後のイトマンや平和相互など、いわゆる「バブルでコンプラ無視の犯罪的経済活動」の後始末は、読んでいてダークになります。

もちろん毀誉褒貶がある人ではありますが、安宅から始まりイトマン、平和相互との合併など、いわゆるバブル時代の「裏の世界」を走りぬけ、さらに郵政の民営化と、大三井住友銀行の頭取、郵政のトップまで勤めた人の言葉は重い。そして資本増強時でのGSの選定の舞台裏。GSの「リレーションシップ・バンキング」ここに極まれり、って感じですけど(金融庁の方、リレーションシップバンキングを強化しろ!ってこういう事(いざというときに排他的なディールを取れる関係構築)っていう事がわかってるんですかね。ディープなリレーションを構築する目的は排他的関係でぶち抜けるディールを獲得すること以外ありえない)。

全体を読んで感じたのは多分「こんな本では書ききれない」ようなディープな話は割愛されてしまったんだろうな、ということ。表面的な記述で終わってしまっているところが各所で見受けられてかなり残念だなあ、という感じがするところは各所に見えます。もちろんかけないことが多いんでしょうけど。

ただ、イトマン事件あたりからの文脈ではさっと書かれていますが、イトマン事件に対するかなりの怒りが行間から湧き出、さらに郵政の件に関しては自ら「政治音痴」とは言いながら怨念が立ち上るような記述になっています。

個人的な感想としては、これが西川氏側からの記述だとはいえ、郵政に関しては政治家の不毛な、そして理不尽な行動には憤りを覚えます。

私自身はバブル期などの本を多数読んでいますから表面的だな、とも思いますが、初めて読む人は戦後金融の裏側が堪能できて面白い一冊ではないでしょうか?

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これはマジでカッコイイ!
ブルーインパルス PV 最強版 Blue impulse 【自衛隊】

音楽(ELLEGARDEN Salamander)とマッチしていて、マジでヤバいっす。
T-4って小型機なので、ハンパなく揺れるんでしょうけど、編隊飛行とか「おいおいこの揺れ方でこの距離ヤバイっしょ」みたな。


、、え?そうです、飛行機オタですけど、なにか?

【追記】星かくときどうやって位置みてんだろ?と思ったら、スモークの位置をまたいだところが見えるんですね、、、感動。。。<オタクです
# by ttori | 2011-11-13 11:34 | 本 / CD / TV



小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
by ttori