デルタ・ワン(航空会社じゃありません)(一部追記しました)

UBSのトレーダーに奇跡は起きず、デルタ・ワンの損失が逮捕劇に
「奇跡が必要なんだ」。スイスの中央銀行がフランの対ユーロ相場に上限を設定した今月6日、UBSのトレーダー、クウェク・アドボリ容疑者(不正取引で逮捕)のフェースブックのプロフィール画面にはこんな切なる願いが記されていた。 約1週間後の15日午前3時30分、ロンドン市警察は職権乱用による詐欺の疑いで31歳のアドボリ容疑者を逮捕した。UBSはその後5時間足らずのうちに投資家に対し、「1人のトレーダーによる不正取引」で20億ドル(約1500億円)の損失を被ったと伝えた。
  アドボリ容疑者はUBSの顧客向け取引を扱う「デルタ・ワン」部門に勤務していた。同部門は通常、顧客が証券バスケットの運用で投機やヘッジするのを手助けするほか、取引をアレンジする際に同行の自己資金でリスクを取る業務も手掛けていた。2008年1月にフランスの銀行、ソシエテ・ジェネラルに49億ユーロ(現在のレートで5200億円)の損失をもたらしたジェローム・ケルビエル被告も同種の部署に所属していた。
  ソシエテ・ジェネラルの元トレーダーで、グレースパーク・パートナーズ(ロンドン)の資本市場アドバイザー、フレッド・ポンゾ氏は、「過失では二重安全装置を通り抜けることは極めて困難だ。これほど大きな穴をあけるには、意図的にやるしかない。今回の事件が20億ドルの穴なのかどうか、テクノロジーやリスク管理の失敗なのかを問う必要があろう」と語った。
(中略)
   他の金融機関幹部が匿名を条件に語ったところによると、他社のトレーダーは、UBSが上場投資信託(ETF)に絡んだ通貨リスクを十分にヘッジしていなかったか、通貨スワップを誤った方向で行った可能性があると憶測している。スイス中銀が6日に上限設定を発表したのを受け、フランは対ユーロで8%余り下落した。 株・債券、通貨、スワップ、ETFなどを取引するロンドンの証券会社、ETXキャピタルのシニアトレーダー、マノジ・ラドワ氏は「通貨取引で失敗した可能性が最も高い」と述べ、「数日間の出来事ならばショックだ。バックオフィスも気付いてしかるべきだった。先週、短期的に急激な動きを見せたのはスイス・フランだけだ」と指摘した。
9月16日(ブルームバーグ)

なんだか業界ゴシップ紙と化してるこのマーケット事件簿カテゴリ。
本日はUBSによる20億ドル(約1500億円)の損失*
*一昔前の兆円単位の損失に比べれば少ないなー、というのはかなり間違った感覚だと思います、ええ。

UBSロンドンのデルタワン・デスクに所属していたクウェク・アドボリ氏はロンドン時間深夜3時半!にトレーディングフロアで!ロンドン警察に拘束されました*2。容疑は不正取引。
*2:というか、深夜に、しかもトレーディングフロアという巨大な体育館みたいな仕事場で突然警察に踏み込まれて逮捕、というシチュエーションにびっくり、、、。(例、UBSがアメリカ・コネチカットにもっている世界最大級といわれる北米NYのトレーディングフロアの写真(ここ))(ちなみに下記はUBSロンドンのトレーディングフロアの映像)


”デルタワン”デスク、というのは業界での商品区分のひとつで、大概はいろいろな原資産(株や債券、為替、コモディティ)に対して100%近く連動する*3(例えば日経225が1%上昇したら同じく1%上昇するとか)商品を扱う部署です。一般になじみのある商品としては例えばETF(上場投資信託)などがあります。このほかでは例えば株の世界では、キャッシュ(個別株)デスクやプログラム(大規模なバスケット取引などを扱う)デスク、オプションデスク、CB(転換社債)デスク等々があります。
*3:対象資産(ETFとかスワップとか)が、基準となる原資産や指数に対してどれだけ連動するか、を一般にデルタといいます。このデルタ(連動性)が1、つまり1対1で対応する商品をデルタワンといいます。このほかオプションは原資産の動きに対して1対1で連動しないので、これに加えてガンマ・セータ、、といった様々なリスク指標が計算され、利用されています。

このデルタワン商品というのは、最近では例えばETFなどアメリカにいながら海外の市場(例えば日本の日経平均とか、中国の上海株価指数とか)に投資することができる、という利便性が受けて急拡大しております。さらに通常一般海外投資家ではなかなかアクセスできない市場(例えば外貨投資制限がある上海市場など)へスワップ(デリバティブ)などでアクセスを提供したり、インデックスアービトラージ(株式指数バスケットと先物などの裁定取引)などを扱います。
また、上記株価指数ETFは扱う商品の一つに過ぎません。現在ETFは単純な各国の株価指数連動型のものだけでなく、例えば「2倍レバレッジVIXインバースETF」みたいな、名前聞いただけではなにやってるかさっぱりわからないようなETFも出現しております(VIX(米S&P500指数オプションから計算されるS&P500指数オプションのインプライド・ボラティリティ指数)の動きに対して2倍、指数とは逆の動きをする)。

ただ、このデルタワン・デスクというのは基本的には流動性の高い、そしてヘッジが可能(なんせ1対1で連動する原資産がある)な商品を扱うため、基本低リスクでほとんど儲かりません*4。そのため巨大なバランスシートを使ってレバレッジをかけながら、巨大取引フローの中で小額の金額を積み上げて収益を上げていく、という性格を持ちます。
*4:例えば上記のVIXインバースETFとか、難しそうだし、儲かるんじゃね?とか思われるかもしれませんが、実はシカゴにVIX指数先物というのが上場されておりかなり流動性があります。この先物を使えば割と簡単にリプリケート(複製)・トレードできたりするんですね、、これが。

さて、このUBSデルタワンデスクの損失の元となったといわれるのが、先日のスイス中央銀行SNBの為替介入。スイス中銀総裁でヘッジファンドの雄ムーアキャピタル出身*5のヒルデブランドSNB総裁は対ユーロ・スイスフランの為替相場において、1ユーロ=1.2フラン以上のスイスフラン高を認めず無制限に介入すると発表、同時にマーケットで巨額の為替介入を行いました。
*5:世界の中銀総裁でHF出身ってかなり珍しいと思います。ゴールドマン出身者は何人かいますけど。、、え?似たようなもんだって?

f0005681_722475.jpgこの突然の発表と介入でそれまで1ユーロ=1.1フラン程度で取引されていたスイスフラン相場は急上昇、多くの投資銀行などは「スイスフラン高は当面続く*6」とみておりましたので、直撃を受け大怪我した人が続出したとのこと。
*6:安全通貨、相対的に高利回り通貨として日本円とスイスフランが選好され対ユーロやドルで高値がついていました。また、スイス中銀はこれまでたびたび為替介入を行いながら、なかなかスイスフラン高を押さえられず、大規模介入に対しての警戒感も薄かったように思います。

今回の損失に関しては上記の「通貨スワップでのヘッジミス」という見方以外に「(スイスフランの)オプションでポジションを取っていたのではないか?」との見方があります。確かに上記で書きましたが、デルタワンデスクというのは低リスクのトレードを扱っているデスクですので、それにしては損失が大きすぎるのが引っかかります。ただ、現在ETF商品の多様化に伴い、デルタワンデスクは”兆単位の”ポートフォリオを扱う、”なんでもあり(株だけでなく債券や為替、コモディティ、デリバティブ等々)”のデスクになっていたのも、また事実なんだと思います。
そしてその急拡大やマルチアセット・マルチカレンシーを扱う特性から、十分なリスク管理ができていなったのかもしれません。

「奇跡が必要」と言っていたといわれる容疑者。ちなみに過去このならず者トレーダー(ローグ・トレーダー)と言われたのが、女王様の銀行と言われた、英ベアリングス銀行のニックリーソン、5%の男と言われた住商の銅マーケットの大損失、大和銀行NYにおける巨額損失、そして先日の仏ソシエテジェネラルの損失、、、。

しかしよくよくみると5つのうち3つ(ベアリングス、SocGen、今回のUBS)は全てデルタワン商品での損失となっています。このあたり、決して「難しい」商品でないデルタワンで大損失が起こっている、というのはなんだか示唆に富む気がするのは私だけでしょうか?*7
*7:ちなみにこのマーケットカテゴリで出てくる、ドイチェ先物大量誤発注事件もデルタワンデスクでの事件だといえます。また、こういったアービトラージは「ブルドーザーの前でコインを拾っている」トレードだといわれることもあります。

【追記】ちなみに、やっぱりというかなんというか、不正トレードに手を染めて3年くらい発覚しなかったそうです。最後吹っ飛ばされたのはSocGenと同じ、先物のポジションを積み増して、吹き飛ばされたようです。どうもアーブというと、上記のようにマーケットがボラがないとなかなか儲からない&一回に儲けられるのは小額なので、かなりの忍耐を必要とされる、そんなに派手なデスクではないと思います。そのためあせりとか、周りで一発あてて大金稼ぐやつらに当てられて、「俺も一発、、、」>でも相場勘云々のデスクではないのでうまくいかず損失>取り返そうと不正トレード、、、という感じでは?と思います。
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# by ttori | 2011-09-16 21:53 | Market(マーケット事件簿)

田舎

最近フェースブックに頻繁にアップするようになったのですが(プライベートなのでばらしませんが:笑)、そうすると高校時代の友人とか、同級生がどんどんつながって行く、、、。

昔仲良かった友達とか、同級生とか、うろ覚えでしかない友達とか。昔かわいかった同級生がとってもおばちゃんになっててちょっとショックだったり(<すでにアラフォー三十路ですから)。
でも、実家に帰るのも一苦労する田舎出身者が、東京でこれだけがんばれるのも、田舎の存在が大きいんだろうな、と思います。

遠く遠く離れていても、僕のことがわかるように
力いっぱい輝ける日をこの町で迎えたい。

どんなに高いタワーからも見えない僕のふるさと
なくしちゃダメなことをいつでも
胸に抱きしめているから

遠く遠く離れた街で元気に暮らせているんだ
大事なのは変わっていくこと、変わらずにいること

何度目かわかりませんが、、槇原敬之 遠く遠く

マッキーは天才だと思います。
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# by ttori | 2011-09-03 20:22 | プライベート

ヘッジファンドの世界

f0005681_6591974.jpgヘッジファンドマネージャーのウォール街の日々―絶好調からどん底へ、そしてまた立ち上がった僕の物語
キース マッカロー (著), リッチ ブレイク (著), Keith McCullough (原著), Rich Blake (原著), 田沢 恭子
アメリカの名門エール大学でアイスホッケーのキャプテンを務め、クレディスイス・ファーストボストンという大手投資銀行で株式セールス、その後ヘッジファンドを渡り歩いた著者の体験を描いた本。

まず著者がアイスホッケーでエール大までたどり着き、CSFBで職を得るまで。ウォール街でいわゆる「体育会系」のつながりが強いことが描かれています。さらに投資銀行での仕事やその雰囲気。多分トレーディングルームで働いたことがない方には珍しい話が多いと思われる逸話が多数書かれています。数年働いた後、ヘッジファンドのドーソン・ハーマンで「彼は投資についてなにも知らない」といわれながら必死に働いてリターンをたたき出し(時には痛い目にあいながら)、自らのファンドを立ち上げるまでになる姿、彼の投資信条が描かれています(決して他の人と同じ考え方をしてはダメだ等)。

その後消費関連投資専門ファンドマネージャーとして自らファンドを立ち上げたにもかかわらず1四半期でそのファンドを閉鎖、大手ファンドのマグネターに売却、そのマグネターで巨大リターンをたたき出し、そのため直ぐに伝説の巨大PE(プライベートエクイティ)ファンド会社・カーライルが立ち上げたHF部門、カーライル・ブルーウェーブにヘッドハントされ立ち上げに参加し、巨大ファンドを運営するまで。
そして巨大な消費バブルに翻弄されながら、「このバブルは崩壊する!」と声を上げたにもかかわらず、タイミングが早すぎて失敗し、首になってしまう様。

最後は自らのリサーチ会社を設立、再度成功する様が描かれています。

本書を読んでると何より2000年代ってホントファンドバブルだったんだなあ、というのが率直な感想です。著者が書いていますが、「大きな波の前では小細工など通用しない」ということ。どんなに努力しても、どんなに頭がよくても大きなマクロ変動には勝てない、ということが描かれています。(ただその大きな波に乗り、著者が大儲けしたのも確かですが)


新聞などで「ヘッジファンド投機筋」とかよくわからない枕詞で語られることが多いんですが、ヘッジファンドの内情が描かれていていて、面白い一冊だと思います。
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# by ttori | 2011-08-29 06:56 | 本 / CD / TV

夏休み!

というわけで、今回もアナウンス。

本日から一週間、私、夏休みをいただきます。



、、、何も起こらない事を祈る。。。。


いや大丈夫でしょ、多分、ええ、、、多分。。いや、大丈夫だって。。



しかし今の世の中、携帯とブラックベリーで別に会社のメールも見れるし、電話もかかってくるし、bloombergも見れるしであんまり夏休み感が薄いんだよね、、。
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# by ttori | 2011-08-29 06:26 | プライベート

デジャブ (夢の中でシリーズ2)

その日、Tはいつもより早く目が醒めた。
「勝負の日だ、、」
その日、Tは見込み客に新しい商品のセールスを行うことになっていた。

普段口下手で、あまりセールスがうまくないTは会社を出て、先輩社員とその見込み客に対してセールスピッチを行う。何度も練習したその資料をめくりながら、先輩のスクーターの後ろに乗って客先に向かう。

田舎の工場。工場に入るとき、空気が変わった。まるで過去にタイムスリップしたような感覚を覚えながら、Tはその工場に入る。
初めは緊張してセールスを始めたTは、なぜか不思議な感覚を覚えた。始めから、まるで過去やったこことを、そのままなぞるかのような流れるようなセールストークが口をついて出る。深く考えずに練習したことを感謝しながら、一通りピッチを終え、手ごたえを感じながら、少し風にあたろうと外に出るとTはつぶやいた。
「まるで昔やったのと同じ、まるでデジャブ(既視感 )みたいだったな、、」

少し外を歩こうと、工場を出て田舎町を歩いた。

しばらく歩くと大きな道に出た。
「あれ?こんな道、あったかな?」

少し戸惑いながら、Tは歩みを進める。まるで誰かに誘導されるかのように。

昼下がりの田舎町は、車や自転車が行きかい、田んぼの傍を歩くTを追い抜かしていく。
空腹を覚えたTは、やがてしばらく歩いた先にファミレスを見つけた。
「まあ、結果が出るまでしばらく時間があるし、飯でも食べとくか、、」
そう思い、Tは導かれるようにそのファミレスに入った。


ファミレスは混んでいた。窓際の席を見渡すと、いっぱい。
「仕方ないな、、。二階に行くか」
二階に上がったTは戸惑った。そこはまるで江戸時代の古い家屋のようなたたずまいだったから。


「、、、なんだこれは、、、」
衝撃を受けたTは直ぐに先輩に連絡を取ろうと携帯を取り出そうとして気がついた。ズボンのポケットが妙に重いことを。

あわてて携帯を取り出したTの目が見たものは、






見たこともないような巨大な携帯電話だった。
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# by ttori | 2011-08-27 21:05 |

むかしの歌

久々に聴きたくなったのでYouTubeで探したらあったPV

岡村靖幸 「だいすき」

服装が古い!そしてダンスがとってもマイケルジャクソン!
90年ということは私中学校のときだな、、。妙に覚えている曲。
この曲は名曲だと思う、、。

エコタイヤ~♪
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# by ttori | 2011-08-21 11:47 | プライベート

M&Aの裏側

f0005681_10454243.jpgインドの鉄人 世界をのみ込んだ最後の買収劇
ティム・ブーケイ バイロン・ウジー (著), 中島美重子 田中健彦 (翻訳)

本書はインドのミッタルスチールがフランス・ルクセンブルグに本拠を置いていた鉄鋼大手、アルセロールを買収するまでの過程と、買収合戦の裏側、特にM&Aの実務的な話を織り交ぜながら、ミッタルスチールがアルセロールを買収するさまが描かれています。

まず、世界一の鉄鋼生産を誇るインドのミッタルスチールの来歴。インドの小さな鉄鋼会社のオーナーの息子として生まれたラクシュミ・ミッタルが、自らインドネシアを振り出しに途上国や東欧の国営鉄鋼メーカーの買収を繰り返し、世界一の鉄鋼会社を一代で作り上げる様。国営で赤字垂れ流していた鉄鋼メーカーを安値で買収、技術者などを大量に送り込み、経営をどんどん立て直していくさまが描かれます。

続いてアルセロールへの買収提案を行うまで。製品の重複が少なく、地域的な補完関係が効くミッタルとアルセロールの合併を提案するラクシュミ・ミッタルに対して、フランス国立行政学院(ENA)*出身でインド人のミッタルを見下すような発言を繰り返し、ミッタルの買収提案を検討すらしようとしないフランス人エリート・ギー・ドレ・アルセロールCEO。さらに、ホワイトナイトとして登場するロシアの鉄鋼大手のセヴェリスタリの大富豪モルダショフCEOの背景や動き。
*ENA(フランス国立行政院):フランスは他国に比べてエリート教育が別立てで整備されており、一部のエリートを選別する制度として選抜官僚学校/大学制度とは別にグランゼコールという制度がある。エリートコースとしてはENAのほかには理工系のエコール・ポリテクニーク等が有名で、フランスの中枢はここの卒業生でほぼ占められている、といわれる。ちなみにENA出身有名人としてはジャックシラク・フランス大統領やジスカール・デスタン大統領、エコール・ポリテクニークはポアンカレやマンデルプロといった学者やカルロス・ゴーン日産CEOなど。

また各国の行政の動き。巨大買収に対して法律的な手当てができていなかったルクセンブルグで、アルセロール側が政治家を巻き込み買収を阻止するため様々な法案を作成しようとするのに対して、ミッタル側のバンカーや広報代理店PRアドバイザー・エージェントがそれを阻止しようと様々なキャンペーンや根回しを行うさま。

そして何よりディールの裏側で働くバンカー・弁護士の動き。中心人物はミッタル側がゴールドマンの欧州M&A部長のヨエル・ザオウイ、そしてアルセロール側がそのザウオイの兄でモルガンスタンレーの欧州M&Aチェアマンのマイケル・ザオウイ。登場するのはメジャーディールメーカーのバンカーや弁護士達。ミッタル側がゴールドマン、シティ、クレディスイス、HSBC、ソシエテジェネラルとクレアリー・ゴットリーブ・スティーン&
ハミルトン法律事務所。アルセロール側がモルガンスタンレー、ドイツ銀、メリル、JPモルガン、BNPパリバそしてアメリカの巨大ファーム・スキャデン・アープス。さらにディール中のバンカー間の確執。クレディスイスやシティのバンカーが「ゴールドマンは欧州の鉄鋼について何も知らないじゃないか」と不満を述べる場面や、アルセロールがフランスのBNPパリバを起用したため、激怒した同じフランスのライバル、ソシエテジェネラル(SocGen)がミッタル側のアドバイザーにつく様も描かれていてます。

若干最後が尻切れトンボになってしまっている感はありますが、「国際巨大M&Aの裏側はこんな感じだ」が余すことなく描かれていると思います。

そろそろインターンなどの時期になると思いますが、M&A希望の学生さんとか、ディールについて勉強したい方にはゼヒお奨めの一冊だと思います。

**しかし、この題名はどうかと思いますが、、、もう少しマシな題名はなかったんですかね、、、。
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上記本を読んでいたとき思い出したCM
Morgan Stanley "World Wise"

Marketsとか、Dealsとかいろんなキーワードがカッコイイ。
特に最後のthe future、the Worldが耳に残ります。
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# by ttori | 2011-08-21 10:41 | 本 / CD / TV

情報の向こう側

私は本屋が好きです。
本の匂い、そして何千冊と並んだ本。

私達はかつてとは比べ物にならないくらいの情報に囲まれています。
インターネットでほんの少しの手がかりで、芋づる式に多数の情報が簡単に引っ張り出せる時代。
わからなければ、質問できるサイトもたくさんあります。

でも、でも。



一番大事なのは自分で考えること。

情報を振り分け、自分なりに咀嚼し、そして自分なりの理解をすること。

そして時としてその自分の理解を疑い、絶えずブラッシュアップすること。

情報があふれているからこそ、自分で情報をより分けるための知識、考える能力が必要とされます。


私の仕事はまさに情報の最前線で、ほんの数秒のうちに数限りない情報が流れていきます。職場では数台のPCと数台のディスプレイに囲まれていますが、見える範囲内にすさまじいばかりの情報があふれています。

そういう意味ではどんどん世知辛い世界になっていくなあ、と思います。
人の幸せとは、自分の想像し、体感できるところまででその人の体感的な幸せ度合いが決まると思います。私達は氾濫する情報の海の中で、じぶんなりに価値観を決め-それは自分の能力に対してのダメだしに他ならない-情報から”真実”と思われるものを拾い出さなければなりません。


しんどい世界だなあ、と最近ほんと思います。
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# by ttori | 2011-07-30 20:27 | プライベート

水の星

最近かなり気になったCM

旭化成 「昨日まで世界になかったものを。」シリーズ


こういう水の世界というか、自然というか、幻想的なCMは目に残りますね、、、。

で、なんだかどっかで聞いた事ある曲だなあ、と思ったら、元ネタはこれだそうで。。
山口百恵 さよならの向こう側をTeNという方がカバーされてるそうで(初め聞いたときUAかとおもいましたよ)。この曲は山口百恵さんのラストシングルだそうで。

♪何億光年 輝く星にも 寿命があると
 教えてくれたのは あなたでした


、、、選択が渋い、、、。
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# by ttori | 2011-07-24 19:48 | CM一考

メディア攻防

f0005681_11295243.jpgウォール・ストリート・ジャーナル陥落の内幕
―なぜ世界屈指の高級紙はメディア王マードックに身売りしたのか
エリソン,サラ著、土方 奈美 訳

本書はアメリカの名門新聞ウォールストリートジャーナルが、メディア王と呼ばれるニューズコープのルパード・マードック氏に買収される過程を描き、また買収によってそれまで速報性ではなく、質の高い分析記事を売り物にしていたウォールストリートジャーナル紙の記事が変容していく過程を描いています。

まず、ウォールストリートジャーナル紙(WSJ)のオーナーであるバンクロフト一族について。創業した大祖父から下の代になっていく過程で、複雑な事情を内包していった一族の内側事情について描かれています。特に大富豪として生活しながら、ウォールストリートジャーナルを傘下に持つダウジョーンズ株の値下がりによって、生活基盤に不安を抱き、そのパフォーマンスの悪化にいらだつ一部一族や、一族の新聞紙面に関与しない、という暗黙の了解に胡坐をかき、ただ不満だけを言いながら、何もしようとしない年配の一族まで、パフォーマンスの悪化により内部で分裂が起きていく様が描かれます。

そしてそのパフォーマンスの悪化によって外部から招かれた現実主義者のCEOと、JPモルガンの投資銀行家のやり取り、その一族の分裂を探り当て、それをチャンスと見て買収提案を画策するメディア王マードック、世間知らずで大きなポカをする一族長老など、の姿が描かれています。

また、WSJの伝統を守ろうとする記者達。一方でその姿を新聞の公共性の殻にこもり利益を出す、という会社としての使命を忘れていると見るマードック氏。長い分析記事が付加価値だと見るWSJ記者、一方で「長い記事をちゃんと最後まで読んでる読者は少ない。読まれない記事には意味はない」とする現実主義者のマードック氏。

読んで思ったことは、「新聞の付加価値とは何だろう」ということであり、その認識の違いからの対立だということ。人がアクセスできない情報にアクセスし、その情報を公開するという新聞の速報性、取材力と、様々な情報を整理し、分析し、質の高い分析記事を書く情報の付加価値性。

マードック氏が重視するのが前者であり、伝統的なWSJが重視していたのが後者。そしてその対立軸をめぐる争いだと思います。ただ、M&Aを繰り返してきたマードック氏の前には記者も一従業員でしかなかった、というのも現実であり、「辞めたくても次がない」という悲しい記者の現実の姿も描かれています。

最近、マードック氏のニューズコープが英国などで盗聴事件を起こし、大問題になっています。インターネットなどが普及し、様々な情報があっという間に広がってしまう、インサイダー情報がネットなどに出てきやすくなっている現代、人がアクセスできない情報を追い求めすぎた結果、引き起こしたのではないか、とも思います。
ただインターネットなどに押され、斜陽産業となり始めている新聞に対してこれほどの思い入れをもっている人も少ないと思います。また今進行中のマードック氏の盗聴事件を見る上で、非常に参考になる本だと思います。
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f0005681_11435956.jpg図書館戦争―図書館戦争シリーズ
有川 浩 著
最近読んだ小説の中でかなり号泣した本。
基本ラブコメなのですが、内容は国家が本を検閲する良化委員会と、言論の自由の最後の砦としての(良化委員会が排除命令を出した本を格納し、誰でも読める場所としての)図書館、そしてその図書館を守る図書隊・図書特殊部隊の戦いを描いています。

主人公笠原郁と、かつて笠原郁を救った王子様と思い描く図書特殊部隊上官(しばらくその王子様が上官とは気がつかないですが)という基本的なラブコメとは別に、本書が内包するバックグラウンドの設定は相当重い。半分言葉狩りとしか思えない良化委員会と、それから言論の自由として本を守るために実弾で撃ち合い、時には死人まで出る設定。
さらにその良化委員会との戦いに勝利するために「一時的に」良化委員会と妥協してはどうか、という勢力の暗躍など、その明るい内容とは別になんだか読むのが辛くなってくる場面もあります。

最近のメディアの劣化を嘆く言論はたくさん見ますが、メディアリテラシーという考えも含めメディアについて考えさせられる本だと思います。
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# by ttori | 2011-07-23 11:26 | 本 / CD / TV



小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
by ttori

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