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ごはっちゅう!(一部追記)

昨日は久々にいつものメンツでミニ定例会。弁護士2名、外資系証券、そしてry(ryさん。ry(ryさんおもしろすぎ。

米ナイト・キャピタル、前日の取引障害で340億円の損失
米証券仲介大手のナイト・キャピタル・グループは2日、前日に発生したコンピューターによる自動注文の障害により4億4000万ドルの資本が失われたことで、会社の存続を賭けて資金集めに奔走した。ナイト・キャピタルの主要な顧客だったTDアメリトレード、フィデリティー・インベストメントなどは現在、ナイト・キャピタルを通して注文を出していない。小規模な顧客も他社を経由して注文を出している。
ナイト・キャピタルの株価は、この2日間で70%以上下落した。
同社は「戦略的、財政的な代替手段を積極的に追求している」とする声明を発表。これを受け、市場では同社が身売りもしくは破産に追い込まれるとの懸念が出ている。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、ナイト・キャピタルはシルバーレーク・パートナーズ傘下のバーテュ・フィナンシャルと協議に入った。またフォックス・ビジネス・ネットワークは、ナイト・キャピタルがJPモルガン・チェースに支援を要請したと報じている。JPモルガンの広報担当者はこの報道についてコメントを控えた。ナイト・キャピタルの広報担当者もコメントを控えている。
ナイト・キャピタルの取引障害により、1日のニューヨーク株式市場で約140銘柄が寄り付き直後に乱高下する事態が発生。ニューヨーク証券取引所は特に値動きが激しかった6銘柄の売買を停止した。
[ニューヨーク 2日 ロイター] 

というわけで久々でました、誤発注。

米大手マーケットメイカー*のナイト・キャピタルグループはマーケットメイクシステムのアルゴリズム誤作動で、大量の誤発注をしたと発表しました。その数140銘柄程度、約1~2兆円!!。
まあ、どこぞの国みたく一日の出来高が1兆円以下しかない orz ってわけではないので、吸収してしまったみたいで、数銘柄だけ”約定取り消し”の沙汰となっておりますが。
(ほとんどの銘柄は日本のストップ高安に相当する、サーキットブレーカーすら発動されなかった)。
*マーケットメイカーとは文字通りマーケットを作る人。マーケットでオファー・ビッドを常にだしてマーケットで建値をして、流動性を供給する役目を負っています。

というわけで、今回は論より中川翔子、チャートを眺めてみましょう。
まず約定取り消しが行われた銘柄。
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続いて大型銘柄。
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日本にはかんけーねーと思いきや、しっかり巻き込まれてる銘柄
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この誤発注をしたナイトキャピタルは資本金1000億程度の中堅企業です。その企業がその資本金の4割近くを吹っ飛ばしたため、株価暴落、単独での企業存続に疑問符が付き、スポンサー探しに駈けずり回ってます。
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ちなみにこのナイトキャピタル、大問題になってるフェースブック上場時NASDAQシステムトラブルにより大損をしたマーケットメイカーの一社(他はUBSなど)。まさに踏んだり蹴ったりですな、、、。

今日において証券取引にはアルゴリズム取引といわれる自動発注システムは業務に不可欠になり、もはや業務そのものになっています。そしてリアルにそれが企業の存亡にかかわるとは、、多くの企業でよりシステムに対する意識が変わる、変わらなければならない時代だと思います。

【追記】ちなみにFTとbloombergによるとこのミストレードの大型ポジション、まとめてブロックトレードでゴールドマンにぶん投げて一気にポジションを落としたようで、受けたGSそーとー儲かったんではないでしょうか、、。

【追記2】とりあえず目先資金繰りがついた&大口顧客のTDアメリトレード等が取引再開したそうで、昨日株価は急反発しております。また、bloombergによると同業のtwo sigmaやPEファンドのKKR、TPG、シルバーレイク等に対して財務を開示したようで今週末あっという間に処理が進むかもしれませんね。

【追記3】ついでにbloombergによると上記GSはナイトのCBの最大保有先で、発行済みの3.5%、375mill保有だそうで、、、。で、このCB80円程度(元本100円として)らしく。もちろんヘッジはしてるとは思いますが、急落したところでヘッジが追いつかなくて、こっちでは結構ロスが出たかもしれません。

(ナイトキャピタルのトレーディングルーム。こちらから。)
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# by ttori | 2012-08-03 21:41 | Market(マーケット事件簿)

world order

最近あっちこっちで出ている、元格闘家須藤元気さん率いるworld order。
WORLD ORDER in WPC 2011
(マイクロソフト主催WPC2011のオープニングイベントに出演した際のパフォーマンスPV)


才能ある人はすごいと思う、、、。
なにより、こうした場できちんと発信できている日本人がいることはすばらしいと思う。
# by ttori | 2012-07-07 11:00 | 本 / CD / TV

次の舞台

英バークレイズ、金利操作問題でCEOが辞任
英金融大手バークレイズは3日、金利の不正操作で巨額の罰金を科された問題を受けて、ボブ・ダイヤモンド最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。辞任は即日付となる。前日にはマーカス・エイジアス会長が辞任を発表していた。
ダイヤモンド氏は同社を通して声明を出し、「私はいつも、何がバークレイズの利益に最もかなうかを考えて、実行することを心がけてきた」「今回の辞任ほど難しい決断はなかった」と述べた。一方で「バークレイズにかかる外からの圧力は損失を生じさせる恐れのある水準にまで高まっている。私は損失の発生を避けたかった」と語った。
後任を選ぶ間、エイジアス会長は現ポストにとどまる。エイジアス氏は声明で、16年間にわたるダイヤモンド氏の貢献と手腕をたたえた。バークレイズは、短期金利の国際的な指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を不正に操作したとして、米英当局と先週、総額約4億5000万ドル(約360億円)の罰金を支払うことで合意していた。
(CNN)

今ロンドンで大騒動になってるこの件。

今回は銀行がお互いに無担保でお金をやり取りする市場が舞台となりました。
世界で”指標”金利といわれるLIBOR。ロンドン・インターバンク(銀行間)・オファード(提示)・レート(金利)、略してLIBOR(ライボー)市場が舞台です。

この市場は例えば6ヶ月ドルライボーであれば毎日英国銀行協会(BBA)に主要銀行16行が「うちがお金貸すときのレートはこれです!」と申告し、(ドルライボー:米国ドルを借りる金利)順番に並べて高いほうのと低い方3つづつを除外し、残りの10行の提示レートを平均して公表します。

で、何が今問題になっているかというと、このライボー、世界中の金融商品の基準として採用されていて、例えばお金を借りた人が返すときの金利の基準にしたり(ライボー+ほにゃらら%とか)とまさに金融市場の”インフラ”として存在してます。そしてこの利回りを使った商品が世界で兆ドル(京円!)レベルであるとのこと。

で今回問題になったのはその基準金利を提示する際、本来の正しい(?)数値ではなく、自分達に有利な数値を出していたとの事。

、、、実は今回のこの話、今に始まったことではなく、実は2008年のリーマンショック後、多大な損失を被った大手銀行の一角が必要以上に低位にレートを出しているのではないか?という話がでてました(私のblogでもかなり前に取り上げましたが、、特にサブプライムショックの直撃を受けたUBSがLIBORを操作しているのでは?といわれてました)。

元々このLIBOR、無担保で貸す、という前提で設計されています。ここがポイントで、担保なしで相手にお金を貸す、という前提である以上、相手の信用リスクが高いと危なくて貸せません。そのため「選ばれた」トップ銀行しかこのマーケットに参加することが許されませんでした。そしてその参加行はこのレートは「相手に”貸す”」金利ですから、当然自分がお金を調達し、そこに利潤を乗せ、その数字を提示することになります。

ところがリーマンショックの折、この”信用リスクが低い”はずだった大手銀行がサブプライムショックを受けて資本に大ダメージを受け、信用リスクが急激に高まりました。また、銀行がインターバンクで資金調達しようにも、みんな相手が潰れることを恐れてレートを急激に引き上げました。

当然これまでほとんどタダみたいな金利で資金調達していた大銀行は急に資金が取れなくなって日々の資金繰りに困ることになります。資金を集めるためになるたけ高い金利をはらわなけれ場ならなくなります。そのため当然調達する資金の金利が高まりますから提示するLIBORも高くなるのが当然なのですが。

肝は実はこのLIBOR市場とは実際にお金をやり取りする市場ではなくなっているという事。つまりもしLIBORを低利にしても、それでオファーを山ほど取られて(つまり資金貸し出しの申し出が殺到して)大損する、という事にはならないという事です。

2008年以降、サブプライムショックをモロにうけた大手銀行はお互いの健全性に疑念を抱き、短期市場は疑心暗鬼で資金の出し手(貸し出し手)が極端にへりました。さらに高いLIBORを提示している銀行=資金繰りに困っている銀行という事で、ますます貸し出してが減ることになりました(なんせ短期資金のやりとりは今日かしたら明日いきなり相手が倒産しかねない)。

そのため、その状況に危機感を覚えた銀行は実際にやりとりする市場レートでないLIBORを不当に操作したのではないか、特にLIBORが高い銀行=ヤバイ銀行という印象をもたれないために意図的にLIBORを低く提示していたのではないか?との疑惑がでています。さらにそれを当時のイングランド銀行(イギリス中央銀行)の担当者(現イングランド銀行タッカー副総裁)が指示していたのではないか?との疑惑が出てきています。

加えて銀行はLIBOR基準のポジションを山のように抱えています。そのため自行に有利なようにLIBORの数値を操作していたのとの疑惑がでています。

今回の件でリーマンショック時にリーマンの北米部門を買収し、傘下の投資銀行部門バークレイズキャピタルをGSやMS、JPモルガンに匹敵するくらいの大銀行に育て上げたボブダイヤモンドCEOが辞任する騒ぎになっています。アメリカ人のダイヤモンドCEOはバークレイズを投資銀行業界でも世界屈指の大銀行に育てた立役者ですが、あまりの逆風に辞任せざる得ない所まで追い込まれてしまいました。

今回の件はバークレイズにとどまらず、様々な銀行に飛び火し始めています。世界中の金融商品のインフラ中のインフラたるLIBORの問題はかなり根が深く、特にそれで天文学的な数値の金額が貸し出され(想定よりも少ない金利しかもらえなかった)、反対に天文学的な金額がかりられています(想定より安く借りれてよかったね)。

LIBORはたかだか10数行の担当者が全てを決めてしまっているかつてのギルド的な世界。特にジョン・ピアトント・モルガンの時代から金融村は狭いサークルの中の世界特権的な世界ではありました。今回の事件は未だ各所に残るこうしたムラ的な金融の社会がすこしずつ変わっていくきっかけになるのでしょうか?
# by ttori | 2012-07-06 21:42

ロンドンホエール、捕鯨ほげー!(一部追記しました)

米JPモルガンの巨額損失に「ロンドンのクジラ」関与、CEO認める
米銀大手JPモルガン・チェースが、ヘッジ戦略の失敗により少なくとも20億ドルの損失を出したことについて、ダイモン最高経営責任者(CEO)は、「ロンドンのクジラ」と呼ばれるトレーダーが関与していることを認めた。このトレーダーはロンドン拠点に勤務するブルーノ・イクシル氏で、同氏の取引をめぐって米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が前月報じていた。JPモルガンは英金融サービス機構(FSA)に情報開示を行っているが、関係者によると、情報開示は規制に基づいて行われており、現時点で当局が何らかの行動に踏み切る気配はみられていない。イクシル氏はフランス人で、1991年に工学・技術系教育機関のエコール・サントラル・パリを卒業。市場では大規模な取引ポジション保有で知られている。関係筋によると、同氏は巨額損失を出したチーフ・インベストメント・オフィスのクレジットデスクを率いていた。同氏からのコメントは得られていない。

 イクシル氏の元同僚によると、同氏、および同氏が率いるチームは自己勘定取引には関与していない。また、このチームの業務内容についてはJPモルガンの経営トップが把握しているという。 

 元同僚は「チーフ・インベストメント・オフィスは、自己勘定取引は行っていない。JPモルガンのバランスシートのリスク均衡化を目的に、投資、取引、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などでポジションを取っている」と述べた。そのうえで、「情報は経営トップからもたらされる。イクシル氏レベルのメンバーが全体像を知らされていたとは、到底考えられない」と述べた。チーフ・インベストメント・オフィスは、ドルー最高投資責任者(CIO)が統括している。チーフ・インベストメント・オフィスに勤務した経験のある人物によると、イクシル氏は同オフィスにそれまでにはなかったクレジットデスクを率いるために同オフィスに異動した。 
 この人物は、同デスクはその後、経営陣が厳しく管理するクレジットポジションを数年間で大きく積み上げ、今回明らかになった損失はこうした取引の失敗によるものとの見方を示している。関係者によると、チーフ・インベストメント・オフィスの規模は過去5年間に急速に拡大。現在はコモディティ(商品)以外の幅広い金融商品の取引を制限なく行う権限を与えられているという。 

 クレジット市場のトレーダーによると、JPモルガンのチーフ・インベストメント・オフィスに相当する部門は、他の銀行にも存在する。フランスの大手行をはじめ、米シティグループ、ドイツ銀行、スイスのUBSも類似の方法でリスクをヘッジしているとみられている。 
【ロイター 2012年 05月 12日 02:00 JST】

マーケット事件簿の続報、次はあっという間にロンドンホエール(ロンドンの鯨)さん。
結局4-6月期で20億ドル!の想定ロス(まだ確定してないので、現状8億ドル程度のロスになりそう、との報道、また7-9月期に10億ドルの追加ロス想定)となりました。太陽王とあだ名される、これまで様々な苦境をうまくすり抜けてきたJPモルガンのダイモンCEOにとっては珍しいしくじりですね。

報道を追っかけてみると、JPモルガンのイナ・ドルー氏が率いるチーフインベストメントオフィスは預金と融資の差額分の余剰資金を使い儲けましょうという部署で、日本のメガバンクだとJGB等を扱う市場部門と同等と思われます。そのCIOオフィスはクレジットのエクスポージャーのヘッジを狙ってCDSインデックスポジションを積み上げ、その後大きなドローダウンを起こしたとのこと。

問題は流動性がなくなり、ポジションがアゲンストにもってかれて大きなロスをだしたとの事ですが、流動性っていうのは結構難しくて、移ろいやすいものです。こないだまでは大人気ですさまじいばかりの流動性があったものが、次の瞬間あっという間に需要が蒸発し、全くといっていいほど流動性が供給されなくなったりします。もちろんJPモルガン自身のディーラーも建値(マーケットメイク)するんでしょうけど、ディーラーだって人の子、保身でbidを引くこともしたでしょうし、OTCデリバティブですから相手方となったと思われる各社(GS、MSなど)も報道を契機に一斉にbidを引いて、流動性が枯渇した可能性もあります。

今回も結局「マーケットに比してポジションを取りすぎた、」という側面もあるんでしょうけど、個人的には「鯨がピラニアの大群にしてやられた」というのが正しい気がします。

もちろんこれでJPモルガンが潰れるとかそういうのは全くといっていいほどないでしょうけど、これまで”世界一の銀行”、”世界一のバンカー”と言われ、議会の規制強化派と真っ向勝負していたJPモルガンとダイモンCEOにケチが付き、銀行規制派が勢いづいたのは確かだと思います*。
(実際昨日のNYで大手金融株が軒並み急落しています)
*ちなみに昨日段階でSEC、FRB、CFTC全てが調査に入り、さらにフィッチが格下げ、S&Pが見通しネガティブと、まーみなさん動きがはやいですねぇ(棒)

これがさらなる規制を呼び起こし、銀行業がさらに低収益性へと向かう、大きな転機となるのでしょうか。

【追記】追加で何点か書きますと、以下2点が論点になってます。①本件はいわゆる”商業銀行”のリスク管理と余資運用の一環で取られたポジションで、投資銀行のプロップトレーディングとは若干はなしが違う点、②いわゆるVar(バリュー・アット・リスク)の計算を間違えたのではないか?という点。
まず一点目は、いわゆる預金超過の場合、なんらしかの運用をしなければならないバンキングの世界で、銀行全体のBSリスクを見ながらポジションを取るのはなんら不思議ではなく、今日本のメガバンクの多額のJGB(日本国債)が問題になってるのも同じ根っこのはず。じゃあiTraxxの変わりにトレジャリーを買うのが今ほんとにリスクリターンとして間尺にあうのか、考えなければならないと思います。2点目の点はかなり難しい。こちらのかた(厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)さん)もかかれてますが、VaRの本家本元、リスクメトリックスを産み出したJPモルガンがうまくリスク管理ができなかったのでは?との論点。
# by ttori | 2012-05-12 09:57 | Market(マーケット事件簿)

ロンドンホエールが吠える

JPモルガンのトレーダーの持ち高でクレジット指数ゆがむ
米銀大手JPモルガン・チェースで企業の財務力に関連するデリバティブ(金融派生商品)を扱っているトレーダーが非常に大きなポジションを取り、10兆ドル(約813兆円)規模の市場で価格をゆがめている可能性がある、と外部のトレーダーが語った。 取引相手となっているヘッジファンドやライバル銀行の5人が匿名で語ったところによると、このJPモルガンのトレーダーはロンドン在勤のブルーノ・イクシル氏。同氏が専門にしているのはクレジット・デリバティブ指数で、企業のデフォルト(債務不履行)の可能性に賭ける市場としてはこの10年で社債を追い越して最大規模になっている。 投資家の間では、イクシル氏の取引が価格をゆがめている可能性があり、多額の債券保有のヘッジとしてクレジット・デリバティブ指数を利用している債券保有者に影響を及ぼしているのではないかとの不満が出ている。アナリストやエコノミストもクレジット市場のリスク認識を測るのにこの指数を利用している。 イクシル氏は自己ポジションを他のトレーダーにほとんど明かしていないが、他のトレーダーはこれらの取引の反対の立場を取っており、同氏の注文はこれまで出合った中で最大の規模だという。2人のヘッジファンド・トレーダーはイクシル氏が市場に参加したとディーラーから告げられた際に、異常に大幅な価格変動が見られたと述べている。(中略)格差が縮小することに賭けていた一部ヘッジファンドは価格差の持続にいら立っており、一部のトレーダーはイクシル氏がいずれ一部の持ち高を清算するとみてポジションを追加したという。

イクシル氏は顧客に代わって証券を売買するトレーダーとは異なり、同行財務部の傘下にある市場リスク管理と余剰資金投資を担う部門であるチーフ・インベストメント・オフィスに勤務している。広報担当のエバンジェリスティ氏によれば、同部門は「長期の組織的な資産負債管理に重点を置いており、短期的な利益を重視してはいない」という。
(中略)
クレジット指数市場の規模や構造を理解している複数の関係者が取引や価格の動きから推定したところでは、イクシル氏はマークイットCDX北米投資適格指数シリーズ9で1000億ドルのポジションを積み上げた可能性があるという。  4月6日(ブルームバーグ)

うーん、、、微妙です。。

ちなみにこの件のトレーダー、JPモルガン・チェース銀行ロンドンのCIO(チーフインベストメントオフィス)に所属しているようで、投資銀行のトレーダーとはまた若干違う立場とのこと。

多分有名な藤巻さんもこの部署所属だったと思いますが、このオフィスは要するに”プロップの中のプロップ””なんでもあり”の、バンキングサイドの有り余る余剰資金を使ってALM的観点から儲けましょう、という部署だと思われます(こちら)。そしてJPモルガンチェース銀行全体の巨大なBSクレジットリスクを考えながらポジションを取るとすると、これくらい(8兆円)はポジションをとってもおかしくないと思われ(それを言い出すと日本のメガバンクの国債やスワップポジションなんてもっと大きいです)。特に北米企業向け融資を多額に抱えているでしょうから、ALM的観点からクレジットリスクヘッジを自分とこの収益に直接的に影響を及ぼすくらいポジションを持とうとするとこれ位はもたないとダメだと思われます。

もう少し突っ込むとすると、この文句言っているHFトレーダーも微妙です。もし価格がゆがんでいると思うのならば逆ポジションをとればいいだけの話。どうもコメントだけ見てると実際に逆ポジションをもっていると思われどう見てもポジショントークです、ありがとうございました、という世界。まあ、Bloombergを使って自分に有利な方向にもっていこうという意識が堂々と見えてなんだかなー、とは思います。しかも文句を言ってる原因は”格差が縮小することに賭けていた一部ヘッジファンドは価格差の持続にいら立っており”って、普通なんのこっちゃ?って感じ。個人的推測ですが、確かMarkitのシリーズっていわゆる単純平均ウエイト指数だったような気がするので、まあ要するに単純平均指数なんで、リクイディティがなかったり市場規模が小さい銘柄までインデックス投資で一切合財買われて、指数構成の各銘柄の値付けが歪んで(多分)ファンダメンタルドリブンのHFマネージャーが特殊需給で持ち上げれらて損して、文句を言ってるだけでは?とも思え。株だってインデックスの入れ替えイベントプレーとか普通にされますし、何をいわんや、という感じですが。

しかし最近こーいった話はJPモルガンばっかりですな、、、。昨年出てた銅市場での買占め事件といい、最近なんだかJPモルガンが池の中の鯨と化してマーケットで暴れてる印象。こないだの部門別の収益状況をみても、債券分野では一人勝ちの様相を見せてますし、ちょっとしたこうした動きはたたかれやすい状況なのかもしれません。
# by ttori | 2012-04-09 21:53 | Market(マーケット事件簿)



小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
by ttori