カテゴリ:Market(マーケット事件簿)( 84 )

中国!中国!

中国の光大証券、16日発生した取引システムのエラーを調査
時価総額で中国5位の証券会社、光大証券 は、16日発生した取引システムのエラーに関する調査を進めている。 同社の上海証券取引所への届け出によると、その他の業務は通常通り。取締役会秘書の梅鍵氏はこれ以上の言及を避けた。 上海証取の技術サービス担当者が内規を理由に匿名を条件に述べたところによれば、同証取はこの日の取引急増について調査している。上海総合指数は午前の取引で、2分間でマイナス圏から5.6%高まで反発。売買高は30日平均を80%上回った。
中国証券監督管理委員会(証監会)の当局者は、証監会が状況を調べていると説明。上海時間午前11時5分(日本時間午後0時5分)過ぎに同指数が急騰したことに関する問い合わせに対し、規則を理由に匿名で回答した。 8月16日(ブルームバーグ)


本日の東京時間の昼時間、上海市場が急騰。合わせて東京市場でも日経やTOPIXが上昇したり円安になったりしました。しかし、その上海市場の上昇があまりにも不自然だったため、話題騒然(チャートは下記)
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で、直後から誤発注ではないか?と話題になっておりましたが、どうやら中国第5位の証券会社、光大証券はシステムトラブルで誤発注をしたようです。
その額約70億元(約1000億)。

、、、まあ噂ではテスト用だかプレゼン用のシステムが実際に証券取引所に接続されてしまっていて、実オーダーとして出てしまったのでは?とのこと。で、コンプラ担当者があっという間に首になったって噂もでてましたが、、。
急騰して急落したのを勘案すると数十億単位で損がでていると思われ。
ただ、光大証券の親会社は中国の中堅銀行の光大銀行。「銀行がでかいから別に潰れやしないだろ」という声も聞こえてきますが。

、、、それどっかで聞いたような、、、。(ただ件の光大銀行、先日中国インターバンク市場金利が急騰したとき「デフォルトしたのではないか」と言われた銀行なんですが、、踏んだり蹴ったりですな、、、)


株式取引はすさまじいまでのシステム産業と化しています。もちろんさまざまなシステムが開発されどんどん使い勝手が上がっていく反面、こうしたちょっとしたミスで巨額の損失につながります。前回書いたナイトキャピタルの例を引くまでもなく、システム開発はフロントの最前線だという認識が必要ではないか、と思います。

【追記】中国・光大証券の大量誤発注はシステムの欠陥が原因=証監会が調査
中国証券監督管理委員会(証監会)は18日、上海株式市場で証券大手の光大証券が16日、大量の買い注文を誤って出した問題に関する調査結果を発表し、注文システムの設計上の欠陥が誤発注の原因だと指摘した。今後、本格的な調査に入るとしている。光大証券は16日、累計で234億元(約3740億円)の買い注文を出し、このうち72億7000万元の売買が成立した。

光大証券は先物で700億分売り建てたらしく、現物はしばらくホールドするらしいです、、。
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by ttori | 2013-08-16 22:24 | Market(マーケット事件簿)

ごはっちゅう!(一部追記)

昨日は久々にいつものメンツでミニ定例会。弁護士2名、外資系証券、そしてry(ryさん。ry(ryさんおもしろすぎ。

米ナイト・キャピタル、前日の取引障害で340億円の損失
米証券仲介大手のナイト・キャピタル・グループは2日、前日に発生したコンピューターによる自動注文の障害により4億4000万ドルの資本が失われたことで、会社の存続を賭けて資金集めに奔走した。ナイト・キャピタルの主要な顧客だったTDアメリトレード、フィデリティー・インベストメントなどは現在、ナイト・キャピタルを通して注文を出していない。小規模な顧客も他社を経由して注文を出している。
ナイト・キャピタルの株価は、この2日間で70%以上下落した。
同社は「戦略的、財政的な代替手段を積極的に追求している」とする声明を発表。これを受け、市場では同社が身売りもしくは破産に追い込まれるとの懸念が出ている。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、ナイト・キャピタルはシルバーレーク・パートナーズ傘下のバーテュ・フィナンシャルと協議に入った。またフォックス・ビジネス・ネットワークは、ナイト・キャピタルがJPモルガン・チェースに支援を要請したと報じている。JPモルガンの広報担当者はこの報道についてコメントを控えた。ナイト・キャピタルの広報担当者もコメントを控えている。
ナイト・キャピタルの取引障害により、1日のニューヨーク株式市場で約140銘柄が寄り付き直後に乱高下する事態が発生。ニューヨーク証券取引所は特に値動きが激しかった6銘柄の売買を停止した。
[ニューヨーク 2日 ロイター] 

というわけで久々でました、誤発注。

米大手マーケットメイカー*のナイト・キャピタルグループはマーケットメイクシステムのアルゴリズム誤作動で、大量の誤発注をしたと発表しました。その数140銘柄程度、約1~2兆円!!。
まあ、どこぞの国みたく一日の出来高が1兆円以下しかない orz ってわけではないので、吸収してしまったみたいで、数銘柄だけ”約定取り消し”の沙汰となっておりますが。
(ほとんどの銘柄は日本のストップ高安に相当する、サーキットブレーカーすら発動されなかった)。
*マーケットメイカーとは文字通りマーケットを作る人。マーケットでオファー・ビッドを常にだしてマーケットで建値をして、流動性を供給する役目を負っています。

というわけで、今回は論より中川翔子、チャートを眺めてみましょう。
まず約定取り消しが行われた銘柄。
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続いて大型銘柄。
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日本にはかんけーねーと思いきや、しっかり巻き込まれてる銘柄
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この誤発注をしたナイトキャピタルは資本金1000億程度の中堅企業です。その企業がその資本金の4割近くを吹っ飛ばしたため、株価暴落、単独での企業存続に疑問符が付き、スポンサー探しに駈けずり回ってます。
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ちなみにこのナイトキャピタル、大問題になってるフェースブック上場時NASDAQシステムトラブルにより大損をしたマーケットメイカーの一社(他はUBSなど)。まさに踏んだり蹴ったりですな、、、。

今日において証券取引にはアルゴリズム取引といわれる自動発注システムは業務に不可欠になり、もはや業務そのものになっています。そしてリアルにそれが企業の存亡にかかわるとは、、多くの企業でよりシステムに対する意識が変わる、変わらなければならない時代だと思います。

【追記】ちなみにFTとbloombergによるとこのミストレードの大型ポジション、まとめてブロックトレードでゴールドマンにぶん投げて一気にポジションを落としたようで、受けたGSそーとー儲かったんではないでしょうか、、。

【追記2】とりあえず目先資金繰りがついた&大口顧客のTDアメリトレード等が取引再開したそうで、昨日株価は急反発しております。また、bloombergによると同業のtwo sigmaやPEファンドのKKR、TPG、シルバーレイク等に対して財務を開示したようで今週末あっという間に処理が進むかもしれませんね。

【追記3】ついでにbloombergによると上記GSはナイトのCBの最大保有先で、発行済みの3.5%、375mill保有だそうで、、、。で、このCB80円程度(元本100円として)らしく。もちろんヘッジはしてるとは思いますが、急落したところでヘッジが追いつかなくて、こっちでは結構ロスが出たかもしれません。

(ナイトキャピタルのトレーディングルーム。こちらから。)
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by ttori | 2012-08-03 21:41 | Market(マーケット事件簿)

ロンドンホエール、捕鯨ほげー!(一部追記しました)

米JPモルガンの巨額損失に「ロンドンのクジラ」関与、CEO認める
米銀大手JPモルガン・チェースが、ヘッジ戦略の失敗により少なくとも20億ドルの損失を出したことについて、ダイモン最高経営責任者(CEO)は、「ロンドンのクジラ」と呼ばれるトレーダーが関与していることを認めた。このトレーダーはロンドン拠点に勤務するブルーノ・イクシル氏で、同氏の取引をめぐって米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が前月報じていた。JPモルガンは英金融サービス機構(FSA)に情報開示を行っているが、関係者によると、情報開示は規制に基づいて行われており、現時点で当局が何らかの行動に踏み切る気配はみられていない。イクシル氏はフランス人で、1991年に工学・技術系教育機関のエコール・サントラル・パリを卒業。市場では大規模な取引ポジション保有で知られている。関係筋によると、同氏は巨額損失を出したチーフ・インベストメント・オフィスのクレジットデスクを率いていた。同氏からのコメントは得られていない。

 イクシル氏の元同僚によると、同氏、および同氏が率いるチームは自己勘定取引には関与していない。また、このチームの業務内容についてはJPモルガンの経営トップが把握しているという。 

 元同僚は「チーフ・インベストメント・オフィスは、自己勘定取引は行っていない。JPモルガンのバランスシートのリスク均衡化を目的に、投資、取引、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などでポジションを取っている」と述べた。そのうえで、「情報は経営トップからもたらされる。イクシル氏レベルのメンバーが全体像を知らされていたとは、到底考えられない」と述べた。チーフ・インベストメント・オフィスは、ドルー最高投資責任者(CIO)が統括している。チーフ・インベストメント・オフィスに勤務した経験のある人物によると、イクシル氏は同オフィスにそれまでにはなかったクレジットデスクを率いるために同オフィスに異動した。 
 この人物は、同デスクはその後、経営陣が厳しく管理するクレジットポジションを数年間で大きく積み上げ、今回明らかになった損失はこうした取引の失敗によるものとの見方を示している。関係者によると、チーフ・インベストメント・オフィスの規模は過去5年間に急速に拡大。現在はコモディティ(商品)以外の幅広い金融商品の取引を制限なく行う権限を与えられているという。 

 クレジット市場のトレーダーによると、JPモルガンのチーフ・インベストメント・オフィスに相当する部門は、他の銀行にも存在する。フランスの大手行をはじめ、米シティグループ、ドイツ銀行、スイスのUBSも類似の方法でリスクをヘッジしているとみられている。 
【ロイター 2012年 05月 12日 02:00 JST】

マーケット事件簿の続報、次はあっという間にロンドンホエール(ロンドンの鯨)さん。
結局4-6月期で20億ドル!の想定ロス(まだ確定してないので、現状8億ドル程度のロスになりそう、との報道、また7-9月期に10億ドルの追加ロス想定)となりました。太陽王とあだ名される、これまで様々な苦境をうまくすり抜けてきたJPモルガンのダイモンCEOにとっては珍しいしくじりですね。

報道を追っかけてみると、JPモルガンのイナ・ドルー氏が率いるチーフインベストメントオフィスは預金と融資の差額分の余剰資金を使い儲けましょうという部署で、日本のメガバンクだとJGB等を扱う市場部門と同等と思われます。そのCIOオフィスはクレジットのエクスポージャーのヘッジを狙ってCDSインデックスポジションを積み上げ、その後大きなドローダウンを起こしたとのこと。

問題は流動性がなくなり、ポジションがアゲンストにもってかれて大きなロスをだしたとの事ですが、流動性っていうのは結構難しくて、移ろいやすいものです。こないだまでは大人気ですさまじいばかりの流動性があったものが、次の瞬間あっという間に需要が蒸発し、全くといっていいほど流動性が供給されなくなったりします。もちろんJPモルガン自身のディーラーも建値(マーケットメイク)するんでしょうけど、ディーラーだって人の子、保身でbidを引くこともしたでしょうし、OTCデリバティブですから相手方となったと思われる各社(GS、MSなど)も報道を契機に一斉にbidを引いて、流動性が枯渇した可能性もあります。

今回も結局「マーケットに比してポジションを取りすぎた、」という側面もあるんでしょうけど、個人的には「鯨がピラニアの大群にしてやられた」というのが正しい気がします。

もちろんこれでJPモルガンが潰れるとかそういうのは全くといっていいほどないでしょうけど、これまで”世界一の銀行”、”世界一のバンカー”と言われ、議会の規制強化派と真っ向勝負していたJPモルガンとダイモンCEOにケチが付き、銀行規制派が勢いづいたのは確かだと思います*。
(実際昨日のNYで大手金融株が軒並み急落しています)
*ちなみに昨日段階でSEC、FRB、CFTC全てが調査に入り、さらにフィッチが格下げ、S&Pが見通しネガティブと、まーみなさん動きがはやいですねぇ(棒)

これがさらなる規制を呼び起こし、銀行業がさらに低収益性へと向かう、大きな転機となるのでしょうか。

【追記】追加で何点か書きますと、以下2点が論点になってます。①本件はいわゆる”商業銀行”のリスク管理と余資運用の一環で取られたポジションで、投資銀行のプロップトレーディングとは若干はなしが違う点、②いわゆるVar(バリュー・アット・リスク)の計算を間違えたのではないか?という点。
まず一点目は、いわゆる預金超過の場合、なんらしかの運用をしなければならないバンキングの世界で、銀行全体のBSリスクを見ながらポジションを取るのはなんら不思議ではなく、今日本のメガバンクの多額のJGB(日本国債)が問題になってるのも同じ根っこのはず。じゃあiTraxxの変わりにトレジャリーを買うのが今ほんとにリスクリターンとして間尺にあうのか、考えなければならないと思います。2点目の点はかなり難しい。こちらのかた(厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)さん)もかかれてますが、VaRの本家本元、リスクメトリックスを産み出したJPモルガンがうまくリスク管理ができなかったのでは?との論点。
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by ttori | 2012-05-12 09:57 | Market(マーケット事件簿)

ロンドンホエールが吠える

JPモルガンのトレーダーの持ち高でクレジット指数ゆがむ
米銀大手JPモルガン・チェースで企業の財務力に関連するデリバティブ(金融派生商品)を扱っているトレーダーが非常に大きなポジションを取り、10兆ドル(約813兆円)規模の市場で価格をゆがめている可能性がある、と外部のトレーダーが語った。 取引相手となっているヘッジファンドやライバル銀行の5人が匿名で語ったところによると、このJPモルガンのトレーダーはロンドン在勤のブルーノ・イクシル氏。同氏が専門にしているのはクレジット・デリバティブ指数で、企業のデフォルト(債務不履行)の可能性に賭ける市場としてはこの10年で社債を追い越して最大規模になっている。 投資家の間では、イクシル氏の取引が価格をゆがめている可能性があり、多額の債券保有のヘッジとしてクレジット・デリバティブ指数を利用している債券保有者に影響を及ぼしているのではないかとの不満が出ている。アナリストやエコノミストもクレジット市場のリスク認識を測るのにこの指数を利用している。 イクシル氏は自己ポジションを他のトレーダーにほとんど明かしていないが、他のトレーダーはこれらの取引の反対の立場を取っており、同氏の注文はこれまで出合った中で最大の規模だという。2人のヘッジファンド・トレーダーはイクシル氏が市場に参加したとディーラーから告げられた際に、異常に大幅な価格変動が見られたと述べている。(中略)格差が縮小することに賭けていた一部ヘッジファンドは価格差の持続にいら立っており、一部のトレーダーはイクシル氏がいずれ一部の持ち高を清算するとみてポジションを追加したという。

イクシル氏は顧客に代わって証券を売買するトレーダーとは異なり、同行財務部の傘下にある市場リスク管理と余剰資金投資を担う部門であるチーフ・インベストメント・オフィスに勤務している。広報担当のエバンジェリスティ氏によれば、同部門は「長期の組織的な資産負債管理に重点を置いており、短期的な利益を重視してはいない」という。
(中略)
クレジット指数市場の規模や構造を理解している複数の関係者が取引や価格の動きから推定したところでは、イクシル氏はマークイットCDX北米投資適格指数シリーズ9で1000億ドルのポジションを積み上げた可能性があるという。  4月6日(ブルームバーグ)

うーん、、、微妙です。。

ちなみにこの件のトレーダー、JPモルガン・チェース銀行ロンドンのCIO(チーフインベストメントオフィス)に所属しているようで、投資銀行のトレーダーとはまた若干違う立場とのこと。

多分有名な藤巻さんもこの部署所属だったと思いますが、このオフィスは要するに”プロップの中のプロップ””なんでもあり”の、バンキングサイドの有り余る余剰資金を使ってALM的観点から儲けましょう、という部署だと思われます(こちら)。そしてJPモルガンチェース銀行全体の巨大なBSクレジットリスクを考えながらポジションを取るとすると、これくらい(8兆円)はポジションをとってもおかしくないと思われ(それを言い出すと日本のメガバンクの国債やスワップポジションなんてもっと大きいです)。特に北米企業向け融資を多額に抱えているでしょうから、ALM的観点からクレジットリスクヘッジを自分とこの収益に直接的に影響を及ぼすくらいポジションを持とうとするとこれ位はもたないとダメだと思われます。

もう少し突っ込むとすると、この文句言っているHFトレーダーも微妙です。もし価格がゆがんでいると思うのならば逆ポジションをとればいいだけの話。どうもコメントだけ見てると実際に逆ポジションをもっていると思われどう見てもポジショントークです、ありがとうございました、という世界。まあ、Bloombergを使って自分に有利な方向にもっていこうという意識が堂々と見えてなんだかなー、とは思います。しかも文句を言ってる原因は”格差が縮小することに賭けていた一部ヘッジファンドは価格差の持続にいら立っており”って、普通なんのこっちゃ?って感じ。個人的推測ですが、確かMarkitのシリーズっていわゆる単純平均ウエイト指数だったような気がするので、まあ要するに単純平均指数なんで、リクイディティがなかったり市場規模が小さい銘柄までインデックス投資で一切合財買われて、指数構成の各銘柄の値付けが歪んで(多分)ファンダメンタルドリブンのHFマネージャーが特殊需給で持ち上げれらて損して、文句を言ってるだけでは?とも思え。株だってインデックスの入れ替えイベントプレーとか普通にされますし、何をいわんや、という感じですが。

しかし最近こーいった話はJPモルガンばっかりですな、、、。昨年出てた銅市場での買占め事件といい、最近なんだかJPモルガンが池の中の鯨と化してマーケットで暴れてる印象。こないだの部門別の収益状況をみても、債券分野では一人勝ちの様相を見せてますし、ちょっとしたこうした動きはたたかれやすい状況なのかもしれません。
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by ttori | 2012-04-09 21:53 | Market(マーケット事件簿)

投資銀行の裏側

見ていて興味深かったので備忘録。

JPモルガン:信用やスワップ、主要なトレーディング収入源
米銀JPモルガン・チェースは、金利スワップやクレジットなどが同行のトレーディング事業で最大の収入源になっていると明らかにした。通常は非公開とされる内訳を公表することで、大半の米ライバル行と一線を画した。JPモルガンは28日、投資家向けプレゼンテーションで、クレジット取引による収入は標準的な四半期で3億7500万ドル(約300億円)、金利スワップと外国為替のスポット(現物)および先物取引はいずれも3億5000万ドルだと説明した。現物株取引からは約3億2500万ドル、資産担保証券では四半期ベースで3億ドルの収入があるという。一部の欧州の銀行はトレーディング部門内の規模が大きい分野の収入を発表するが、米銀が同事業内の収入構成を数値化することはほとんどない。ウォール街の大手5行ではトレーディング事業の収入が総収入の約4分の1を占める。JPモルガンの2011年のトレーディング収入は202億ドルだった。
2月28日(ブルームバーグ)

世界的トップバンクのJPモルガンの投資銀行部門のトレーディングレベニュー(収入)のざっくりとした内訳が出てたので皆様へー、とかほーとかいいながら見てみましょう。詳細はこちら

FICC世界トップのJPモルガン、昨年のトレーディング収入はトータル202億(約1.6兆円)。うち7割がFICC。資料の7ページめにそのトレーディング事業の概要が出ています。これによると、グローバルでのトレーディング部門のセールスは2500名、トレーダーは約2000名程度*(あとIBバンカーが2000名程度)。特に世界1位のFICC(債券、為替、商品)部門が7割の収益をたたき出しています。この比率はUSのライバル、Goldmanやモルガンスタンレーに比べて株式部門のレベニューが低い(実際資料にはJPモルガンの株式部門のランキングがキャッシュ・エレクトリックで4位と9位で軒並み1位のFICCに比べて低位になっています。
*一般の人は人員が意外と少ない、との印象をもたれるかもしれません。よく話題になるトレーダーなんて、グローバルに多く見積もっても全金融機関で数万人くらいしかいないんだろーなー、と思います。

デスク数(いわゆる商品区分)は110程度。レート(金利)分野ではガバメント(政府債)とか、スワップとか、先物、オプションデスクとか。またコモディティや為替分野でも様々なデスクがあります。これから逆算すると、1デスクあたりの人員はセールス、トレーダー合わせてグローバルで40名程度、レベニュー平均は$180mill(150億程度)、一人当たり4億弱の年レベニューになります。

そして各分野あたりのレベニュー内訳。目を引くのがFXの扱う金額の多さとトレーディングスプレッドの低さ。ただ、JPモルガンは為替分野ではトップバンクですから、為替関連で標準的な四半期で350mill(300億弱)の収入。もっとも稼げている分野はクレジットトレーディング、ついでインタレストレート(金利)スワップ、為替スポット、フォワードデスクとなっており、特にインタレスト・レート(金利)スワップはもっとも”ぶち抜ける”デスクとなっております。

よく話題になる株式分野では現物株があわせて325mill(280億程度)、株デリバティブで200mill(160億)。コモディティはメタル(金属)トレーディングで75mill、エナジートレーディング(原油とかガスとか)で250millであわせて325mill程度。

あとストラクチャードが弱いのは、そういう戦略だったんだろーな、と。特に後半には”高回転トレーディング・ビジネスモデル”と書かれてますので、バランスシートを持たず、顧客フローを集中的に扱い、BSを使わないで細かくスプレッドを抜いていく、そんなビジネスモデルが見えます(とはいってもの、投資銀行のモデルは大概こういう事業モデルを志向してますが、、)。

とりあえず、これから投資銀行にもぐりこもう!とお考えの方には、どこのデスクにもぐりこむといいか、という指針になるのでは。

、、、え?もう遅いって??
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by ttori | 2012-03-05 22:29 | Market(マーケット事件簿)

犯罪者

MFグローバルが経営破たん、欧州ソブリン債への積極投資で痛手
米先物ブローカーのMFグローバル・ホールディングスは31日、ニューヨーク市マンハッタンの裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。同社はゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)や上院議員、ニュージャージー州知事を歴任したジョン・コーザイン氏(64歳)がCEOを務めており、積極的なリスクテイクを通じて同社を「ミニゴールドマン」に変身させようとした同氏の野望は、欧州債務危機のあおりで打ち砕かれる形となった。コーザイン氏はリスクの高い自己勘定売買を推進。低金利と欧州ソブリン債への積極投資で痛手を受けた。 規制当局は以前からMFグローバルの存続能力に「重大な懸念」を抱いており、イタリアやポルトガル、スペインなどのソブリン債に対するエクスポージャーの公表を求められてから、わずか1週間足らずでのあっという間の破たん劇となった。
 同社に対しては多くの企業が関心を示しており、バークレイズ、シティグループ、ドイツ銀行、ジェフェリーズ・グループ、JPモルガン・チェース、マッコーリー・グループ、ステート・ストリート、ウェルズ・ファーゴなどの名が買い手候補として挙がっていた。しかし、関係筋によると、インタラクティブ・ブローカーズ・グループへの資産売却をめぐる協議が決裂した後、連邦破産法11条の申請に踏み切った。
 同社のブラッドレイ・アベロウ最高執行責任者(COO)は裁判所に提出した文書の中で、「規制当局に定められた期限までの限られた時間で達成できる他の選択肢がなかった」と説明した。 MFグローバルの破たんは、2008年のリーマン・ブラザーズの破たん劇を連想させる。しかし、市場関係者は、市場にもたらす影響はリーマンに比べてはるかに小さく、限定的なものにとどまるとみている。それでも、同社破たんにより、複雑なポジションの整理に伴う混乱は避けられないとの見方から、米国市場における金、原油、穀物などの取引は減少した。CRGパートナーズのリストラアドバイザー、マイケル・エプスタイン氏は「MFグローバルはある意味で、リーマン・ブラザーズの小型版のようなものだ」と語っている。
[ニューヨーク 31日 ロイター] 

最近こんだけマーケットが荒れてる(パパン首相(?)の暴走とか)のになかなかマーケット事件簿に書く事件がおこんないなー、と思ったらよーやく出てきました。<あほ

ゴールドマンサックスの元ボンドトレーダー・共同会長で元米ニュージャージー州知事(この選挙はすさまじい金が投入されたらしいですが)のジョンコーザイン氏*がCEOとして乗り込んでいったMFグローバルが破綻しました。その負債総額410億ドル(3.2兆円)。
このコーザイン氏、LTCMのときに一人で暴走してGSの会長を解任された、という過去がございます。そしてその恨みを晴らすためか、積極的な拡大戦略を引き、MFグローバルをミニゴールドマンにすべく、投資銀行化に積極的に打って出ていたそうです。
*ちなみにこのコーザイン氏をキーパーソン条項にした(この人が辞めたら償還しまっせとか)債券が発行されてた(引き受けはジェフリーズという中堅投資銀行で、この事件で株価が爆落してます)り、結構すごいおっさんだと思われていた模様)

今回の破綻の直接の原因は欧州債券のエクスポージャーの高さ。
元々MFグローバルって、資本金が15億ドル(1200億)程度しかない小型の先物ブローカーでした。ところが元債券トレーダーとしての血が騒いだのかしりませんが、欧州の、しかも今PIIGSとして騒がれている高リスククレジット国のソブリン国債をしこたま(60億ドル、5000億くらい)抱えたとのこと。

もともとこのMFグローバルという会社、日本でいう商品先物の会社のED&Fマンという砂糖をあつかう商社会社が源流です。今ロンドンに上場していて日本の個人投資家にも有名なCTAヘッジファンドAHLのマン・グループが先物ブローカー部門をスピンオフ(分離独立)させたのがMFグローバルです。

この先物ブローカー会社って結構昔からある形態で、破綻したリーマンも元々綿花商社から出発した会社です。直近では上場直後に不正会計が発覚していきなり破綻したレフコという先物ブローカー**とか(MFグローバルがその後買収)何かと話題を振りまいてくれる存在ではありましたが。
**よく読むとレフコが破綻したときもインタラクティブブローカーって買収相手として名乗りあげてたんですね、、。

しかも件のコーザイン氏、顧客資産を流用していたようで、この業界、顧客資産に手をつけるのはご法度ですので、業界のコンプラの基本の「き」を無視した罪は重いと思われます(インタラクティブブローカーなど買収者が軒並みbidを取り下げたのは、これが原因だと思われ)。まー要するにトップの暴走を押さえきれなかたっと。

あと、よく「これはリーマンショックの再来だ!」とかおっしゃる方がいらっしゃるようですが、個人的にはそこまでいかんのかなあ、と***。理由は簡単で、バランスシートが軽いのと、現物と上場先物中心(上場先物はOTCデリバティブと違い、カウンターパーティは証券取引所)のバランスシートなのでOTCデリバティブでのハブの一つになっていたリーマンとはまったく別ではと。
ただ、ユーロ危機の犠牲者の一つとしてはなかなかのでかさ、さらに自己売買のミスで潰れたとなると金融機関の規制強化を主張している人達が「それみたことか」と勢いづくこと間違いなしですし。
***ただ、ギリシャの無秩序な破綻はリーマンショック以上の衝撃になる、に10000ドラクマ。

しかしギリシャの首相がとち狂って国民投票するとか、先が見えなくなっていてとってもダークな気分になるの私だけですか、そうですか。
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by ttori | 2011-11-02 23:27 | Market(マーケット事件簿)

デルタ・ワン(航空会社じゃありません)(一部追記しました)

UBSのトレーダーに奇跡は起きず、デルタ・ワンの損失が逮捕劇に
「奇跡が必要なんだ」。スイスの中央銀行がフランの対ユーロ相場に上限を設定した今月6日、UBSのトレーダー、クウェク・アドボリ容疑者(不正取引で逮捕)のフェースブックのプロフィール画面にはこんな切なる願いが記されていた。 約1週間後の15日午前3時30分、ロンドン市警察は職権乱用による詐欺の疑いで31歳のアドボリ容疑者を逮捕した。UBSはその後5時間足らずのうちに投資家に対し、「1人のトレーダーによる不正取引」で20億ドル(約1500億円)の損失を被ったと伝えた。
  アドボリ容疑者はUBSの顧客向け取引を扱う「デルタ・ワン」部門に勤務していた。同部門は通常、顧客が証券バスケットの運用で投機やヘッジするのを手助けするほか、取引をアレンジする際に同行の自己資金でリスクを取る業務も手掛けていた。2008年1月にフランスの銀行、ソシエテ・ジェネラルに49億ユーロ(現在のレートで5200億円)の損失をもたらしたジェローム・ケルビエル被告も同種の部署に所属していた。
  ソシエテ・ジェネラルの元トレーダーで、グレースパーク・パートナーズ(ロンドン)の資本市場アドバイザー、フレッド・ポンゾ氏は、「過失では二重安全装置を通り抜けることは極めて困難だ。これほど大きな穴をあけるには、意図的にやるしかない。今回の事件が20億ドルの穴なのかどうか、テクノロジーやリスク管理の失敗なのかを問う必要があろう」と語った。
(中略)
   他の金融機関幹部が匿名を条件に語ったところによると、他社のトレーダーは、UBSが上場投資信託(ETF)に絡んだ通貨リスクを十分にヘッジしていなかったか、通貨スワップを誤った方向で行った可能性があると憶測している。スイス中銀が6日に上限設定を発表したのを受け、フランは対ユーロで8%余り下落した。 株・債券、通貨、スワップ、ETFなどを取引するロンドンの証券会社、ETXキャピタルのシニアトレーダー、マノジ・ラドワ氏は「通貨取引で失敗した可能性が最も高い」と述べ、「数日間の出来事ならばショックだ。バックオフィスも気付いてしかるべきだった。先週、短期的に急激な動きを見せたのはスイス・フランだけだ」と指摘した。
9月16日(ブルームバーグ)

なんだか業界ゴシップ紙と化してるこのマーケット事件簿カテゴリ。
本日はUBSによる20億ドル(約1500億円)の損失*
*一昔前の兆円単位の損失に比べれば少ないなー、というのはかなり間違った感覚だと思います、ええ。

UBSロンドンのデルタワン・デスクに所属していたクウェク・アドボリ氏はロンドン時間深夜3時半!にトレーディングフロアで!ロンドン警察に拘束されました*2。容疑は不正取引。
*2:というか、深夜に、しかもトレーディングフロアという巨大な体育館みたいな仕事場で突然警察に踏み込まれて逮捕、というシチュエーションにびっくり、、、。(例、UBSがアメリカ・コネチカットにもっている世界最大級といわれる北米NYのトレーディングフロアの写真(ここ))(ちなみに下記はUBSロンドンのトレーディングフロアの映像)


”デルタワン”デスク、というのは業界での商品区分のひとつで、大概はいろいろな原資産(株や債券、為替、コモディティ)に対して100%近く連動する*3(例えば日経225が1%上昇したら同じく1%上昇するとか)商品を扱う部署です。一般になじみのある商品としては例えばETF(上場投資信託)などがあります。このほかでは例えば株の世界では、キャッシュ(個別株)デスクやプログラム(大規模なバスケット取引などを扱う)デスク、オプションデスク、CB(転換社債)デスク等々があります。
*3:対象資産(ETFとかスワップとか)が、基準となる原資産や指数に対してどれだけ連動するか、を一般にデルタといいます。このデルタ(連動性)が1、つまり1対1で対応する商品をデルタワンといいます。このほかオプションは原資産の動きに対して1対1で連動しないので、これに加えてガンマ・セータ、、といった様々なリスク指標が計算され、利用されています。

このデルタワン商品というのは、最近では例えばETFなどアメリカにいながら海外の市場(例えば日本の日経平均とか、中国の上海株価指数とか)に投資することができる、という利便性が受けて急拡大しております。さらに通常一般海外投資家ではなかなかアクセスできない市場(例えば外貨投資制限がある上海市場など)へスワップ(デリバティブ)などでアクセスを提供したり、インデックスアービトラージ(株式指数バスケットと先物などの裁定取引)などを扱います。
また、上記株価指数ETFは扱う商品の一つに過ぎません。現在ETFは単純な各国の株価指数連動型のものだけでなく、例えば「2倍レバレッジVIXインバースETF」みたいな、名前聞いただけではなにやってるかさっぱりわからないようなETFも出現しております(VIX(米S&P500指数オプションから計算されるS&P500指数オプションのインプライド・ボラティリティ指数)の動きに対して2倍、指数とは逆の動きをする)。

ただ、このデルタワン・デスクというのは基本的には流動性の高い、そしてヘッジが可能(なんせ1対1で連動する原資産がある)な商品を扱うため、基本低リスクでほとんど儲かりません*4。そのため巨大なバランスシートを使ってレバレッジをかけながら、巨大取引フローの中で小額の金額を積み上げて収益を上げていく、という性格を持ちます。
*4:例えば上記のVIXインバースETFとか、難しそうだし、儲かるんじゃね?とか思われるかもしれませんが、実はシカゴにVIX指数先物というのが上場されておりかなり流動性があります。この先物を使えば割と簡単にリプリケート(複製)・トレードできたりするんですね、、これが。

さて、このUBSデルタワンデスクの損失の元となったといわれるのが、先日のスイス中央銀行SNBの為替介入。スイス中銀総裁でヘッジファンドの雄ムーアキャピタル出身*5のヒルデブランドSNB総裁は対ユーロ・スイスフランの為替相場において、1ユーロ=1.2フラン以上のスイスフラン高を認めず無制限に介入すると発表、同時にマーケットで巨額の為替介入を行いました。
*5:世界の中銀総裁でHF出身ってかなり珍しいと思います。ゴールドマン出身者は何人かいますけど。、、え?似たようなもんだって?

f0005681_722475.jpgこの突然の発表と介入でそれまで1ユーロ=1.1フラン程度で取引されていたスイスフラン相場は急上昇、多くの投資銀行などは「スイスフラン高は当面続く*6」とみておりましたので、直撃を受け大怪我した人が続出したとのこと。
*6:安全通貨、相対的に高利回り通貨として日本円とスイスフランが選好され対ユーロやドルで高値がついていました。また、スイス中銀はこれまでたびたび為替介入を行いながら、なかなかスイスフラン高を押さえられず、大規模介入に対しての警戒感も薄かったように思います。

今回の損失に関しては上記の「通貨スワップでのヘッジミス」という見方以外に「(スイスフランの)オプションでポジションを取っていたのではないか?」との見方があります。確かに上記で書きましたが、デルタワンデスクというのは低リスクのトレードを扱っているデスクですので、それにしては損失が大きすぎるのが引っかかります。ただ、現在ETF商品の多様化に伴い、デルタワンデスクは”兆単位の”ポートフォリオを扱う、”なんでもあり(株だけでなく債券や為替、コモディティ、デリバティブ等々)”のデスクになっていたのも、また事実なんだと思います。
そしてその急拡大やマルチアセット・マルチカレンシーを扱う特性から、十分なリスク管理ができていなったのかもしれません。

「奇跡が必要」と言っていたといわれる容疑者。ちなみに過去このならず者トレーダー(ローグ・トレーダー)と言われたのが、女王様の銀行と言われた、英ベアリングス銀行のニックリーソン、5%の男と言われた住商の銅マーケットの大損失、大和銀行NYにおける巨額損失、そして先日の仏ソシエテジェネラルの損失、、、。

しかしよくよくみると5つのうち3つ(ベアリングス、SocGen、今回のUBS)は全てデルタワン商品での損失となっています。このあたり、決して「難しい」商品でないデルタワンで大損失が起こっている、というのはなんだか示唆に富む気がするのは私だけでしょうか?*7
*7:ちなみにこのマーケットカテゴリで出てくる、ドイチェ先物大量誤発注事件もデルタワンデスクでの事件だといえます。また、こういったアービトラージは「ブルドーザーの前でコインを拾っている」トレードだといわれることもあります。

【追記】ちなみに、やっぱりというかなんというか、不正トレードに手を染めて3年くらい発覚しなかったそうです。最後吹っ飛ばされたのはSocGenと同じ、先物のポジションを積み増して、吹き飛ばされたようです。どうもアーブというと、上記のようにマーケットがボラがないとなかなか儲からない&一回に儲けられるのは小額なので、かなりの忍耐を必要とされる、そんなに派手なデスクではないと思います。そのためあせりとか、周りで一発あてて大金稼ぐやつらに当てられて、「俺も一発、、、」>でも相場勘云々のデスクではないのでうまくいかず損失>取り返そうと不正トレード、、、という感じでは?と思います。
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by ttori | 2011-09-16 21:53 | Market(マーケット事件簿)

スワップション(少し追記しました)

三菱UFJモルガンが993億円のトレーディング損失、300億円の増資へ
三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券(秋草史幸社長)は21日、親会社の三菱UFJ証券ホールディングスに対する300億円の第三者割当増資を実施し、資本増強すると発表した。フィクストインカムのポジショントレーディングの一部業務で1─3月期に993億円のトレーディング損失を計上し、2011年3月期決算で大幅な最終赤字になるのが主因。
 増資後の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の自己資本規制比率は250%程度になる見通し。払込期日は4月22日。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の11年3月期当期損益は1450億円の赤字。このうち、11年1─3月期にトレーディング損失を計993億円計上したことが大きく響いた。
 会見した三菱UFJモルガン・スタンレー証券幹部によると、損失の原因は、1)トレーディングで相場を見誤った、2)問題となったポジションを圧縮するため損切りした、3)その他のポジションでも評価の甘い部分の評価を見直した──の3点だった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、今回損失を計上した業務を縮小する。
 三菱UFJ証券HDは同時に、2011年3月期当期損益が500億円の赤字になる見通しだと発表した。
(ロイター2011年 04月 21日 17:50 JST)

というわけで久々に出てきましたマーケット事件簿。
今回は三菱UFJモルガンスタンレー証券(ながっっ)*のスワップション(金利のオプション商品)における損失1000億**。わたしゃ株屋で債券畑ではないんですが、調べてみたことを少し。
*過去最も長い社名だと思ったのは太陽神戸三井銀行とか、日興ソロモンスミスバーニーとか。
**兆じゃないからマーケット事件簿にしては小さいなー、っていうのは感覚が多分おかしいです、ええ。

、、、まー、実は会社の外人に「三菱がスワップで大損してるらしい、、」という噂を聞いたのは2月?3月頭くらいだったかな?と思います。そんときは「ふーん」位にしか思ってなかったんですが。

さてさて、デリバティブというと直ぐに数字がインフレしてしまいます***。今回は「三菱UFJは130兆円!のポジションをもってた、、」という話にになってますが。で、実際にどうだったの?ということで三菱UFJのディスクロージャー資料から数字を拾ってみましょう。
***これはデリバティブが相対で取引されるため、見た目ポジションゼロでも、裏で大量な残が積みあがってるため(例えばあるオプションの契約を100億JPモルガンとして、GSで反対売買したらエクスポージャゼロですが、グロス残は200億)。下記に出てきますが、例えば三菱UFJの金利スワップ残はあわせて約570兆!もあります。

2011年(平成23年)3月期 中間期のディスクロージャー資料13Pに連結のデリバティブの保有残高が出ています。

(1) 金利関連取引 (単位:百万円)
         契約額等        時価 評価損益
                うち1年超
金融商品取引所
 金利先物
  売建 4,872,638 2,816,437 △14,767 △14,767
  買建 3,262,810 2,060,858 17,734 17,734
 金利オプション
  売建 3,368,294 43,515 △999 557
  買建 3,568,916 43,640 1,067 △906
店頭
 金利先渡契約
  売建 21,634,720 119,763 3,150 3,150
  買建 24,139,602 142,092 △2,759 △2,759
 金利スワップ
  受取固定・支払変動 264,835,154 198,680,174 7,999,716 7,999,716
  受取変動・支払固定 270,205,464 195,083,420 △7,575,676 △7,575,676
  受取変動・支払変動 32,881,487 24,440,911 △25,074 △25,074
  受取固定・支払固定 498,096 461,855 △39,813 △39,813
 金利スワップション
  売建 72,044,440 49,437,342 △895,743 △275,953
  買建 49,721,274 31,748,383 835,082 257,770
 その他
  売建 5,297,056 4,500,993 △28,591 △11,577
  買建 3,004,154 2,014,715 27,648 16,698
合計      ー ー 300,972 349,098

確かに他の金利先渡契約や金利スワップなどはほとんどエクスポージャーがマッチアウトするような形になってますが、金利スワップションだけ売建72兆/買建50兆となっており、差分22兆円の売エクスポージャがあります(金利スワップは売265兆/買270兆の5兆、時価差分は4000億)。また、1年超のポジも売差分18兆も出ています(三菱東京UFJ銀は売建6兆/買建5兆と桁一つ違うので、ほとんどが証券部門のポジションだと思いますが)。
もちろん単純に裸でもってるとも思えません。現物やスワップでヘッジしているとも思えますが、それぞれの商品での利益でみるとこの時点ですでに150億円の損失が出ていることがわかります(もちろんヘッジポジションで利益が出て相殺されているとも思いますが)。さらに時価評価を見ると、6000億の売超となってます。

ちなみに10年3月期のポジションは売建60兆/買建40兆とやっぱり20兆円の差分エクスポージャがでてます。この時の時価差分はほとんどゼロ、09年3月期をみると売建43兆/買建32兆の差分10兆円時価差分600億売超、08年3月期は売建28兆、買建23兆の差分5兆円時価差分は1800億の買超。確かに直近ポジションが大きくなってます。

しかしながら、普通考えるとあまりにも大きいポジション。もちろん実態はわかりませんが、どうも6000億のショートしたところに急に踏まれて大ヤラレした、という風に見えます。6000億で1000億のロス、というと17%くらい****。一部ではディープアウトのオプション(例えば日経オプションでいうと5000円プットとか、ありそうもない現値から乖離したストライクのオプション)のショートを踏まれた、との話もありましたが。確かに例えば10年3月期だと20兆も売超なのに時価差分額がゼロ、ということは安いオプション(=アウトのオプション)のポジションが多い、ともとれます。
****bloombergでスワップのチャートをみると、10年とか昨年12月中旬に妙な上ひげをつけてたりして、「あーこのあたりでロスカットかなんかしたのかなあ」とも思いましたが。アウトのオプションなんて一瞬で価格が倍になったりしますので、実際のとこどうなのかはわかりません。

ともあれ、大怪我なのは確か。かつて私もアウトのオプションのショートは危険と教わりましたが。プロでもオプションの売りは難しい、ということでしょうか、、。

【追記】しかしよく見ると一貫してノーショナルは売超、時価はほぼフラット、というポジションなので、基本アウトショート、ニアorアットがロングの単純なボラスマイルに沿った戦略では、とも。そういうシンプル戦略(リクイディティはなかったかもしれませんが)で大損、ってどう考えてもリスク管理とか、モデルの問題だとおもう私はフロントの人間だからですか、そうですか。

【追記2】下記コメントいただきましたが、株と違って金利オプションは長さ(例えば10年のスワップションと1年のスワップションといった)でリスクが全然ちがいますから、単純に上の分析で”どういうリスクエクスポージャだったか”はわかりません。ただ、全体でガンマショートになっていたところに”昨年度後半のJGBマーライオン相場 by はちご先生”でやられた、んだろーな、とも思います。個人的にはオプショントレーダの人は”長短ミスマッチ”までポジションをとらんのでは?とは思いますけど、、(デュレーションはマッチさせてボラのみにリスクエクスポージャを限定してた、という意味、イールドカーブとボラの期間構造でアーブやってた、って話なら知りません)。
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by ttori | 2011-04-22 20:30 | Market(マーケット事件簿)

はちご先生2

1で株式現物市場について述べましたが、続いて株式デリバティブ(派生商品)市場。

通常、デリバティブはオプション・フューチャー・その他デリバティブという風にいわれます。

その中で一番簡単で有名なのが先物だと思われます。
先物はある期日(満期日)での当該銘柄(指数)の指定値で決済されるという派生商品です。例えば日経平均先物は、日経新聞社が発表している日経225種といわれる指数に連動するデリバティブです。

一般に間違えられやすいのですが、先物は先渡し契約の一つの分野です。これは指定期日に指定した値段で決済を行うことを先渡し契約といいます。例えば現物株を指定値段(例えば3ヵ月後の引値など)で売買することを先渡し(フォワード)契約といいます。

この先渡し契約を標準化して上場させたものを先物(フューチャー)といいます。時々このへんの知識があいまいな方が「先物をOTCで売買したいんですが、、」というとんちんかんな質問が出たりします。

現在日本で最も出来高(コントラクト)が多いのが日経平均先物。また機関投資家が多く使うTOPIX先物。日経平均先物は指数に1000円をかけたものが標準形となっており、通常3,6,9,12月隔月の第二金曜日の各構成銘柄のオープンの値段で決済されます(この日をSQ(スペシャル・コーテーション)日といいます。ただこの言い方は日本だけらしく、海外では”エクスパイヤー・デート”といったりします)。
*気をつけなければならないのはこの”コントラクト”数。最近時々韓国の先物契約数が日本の数倍、という報道があったりしますが、これはこの”コントラクト”数をいいます。ただ、日本の先物が一枚当たり1000万円程度の参照契約金額(ノーショナル)となっていますが、韓国の先物はそれよりもはるかに小額となっています。

でデリバティブの特徴といえばレバレッジ。上記の日経平均先物は現在一枚あたり100万弱の委託保証金(担保)で売買することができます。つまり1000万円近い契約を100万円程度の資金で売買することができることになります。レバレッジ10倍。この委託保証金は売買翌日までに、売買した証券会社を通じて、証券取引所に収められることになります。
気をつけなくてはならないのはデリバティブは個別契約。つまり誰かと誰かの契約となります。通常売買契約と一緒で売り手と買い手がいます。通常の売買契約は買い手と売り手が株券と現金を受け渡して終わりですが、現物株券が存在しないデリバティブ契約は売り手と買い手が満期日までその契約を維持しなければなりません。

つまり長期のデリバティブ(中には数十年も続く)は相手が必ず最後まで契約を守る、ということが前提となります。これは面倒ですよね。だって相手が数十年も必ず存続してるかどうかも怪しい(これをカウンターパーティリスクといいます)。値段が上がったら取引を解消したくても、相手がやだ、といって解消できないかもしれません。

こうした不便さを解消するために出てきたのが、先物や上場オプション市場です。この先物契約は契約相手が必ず証券取引所、となります。前の記事で書きましたが、証券取引所の上場市場の特徴は全てを一般化し、”価格のみ”の交渉で売買できるような商品設計となっている点(だからこそ、先物は受け渡し日や委託保証金(担保)の金額が画一的で融通がきかなくなってます)。またこの委託保証金の計算はSPANといわれる計算方法で過去24週の当該指数のボラティリティ(変動数値)の最大値をベースに計算され、売買日の次の日に証券取引所に収めます。また、相手が必ず証券取引所でさらに売買する指数デリバティブも株券と同じくまったく同じ契約となりますので、買った相手を気にせずに、売り戻して契約を終了することができます。


、、、うーむー、どんどん長くなっていくなあ、、。
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by ttori | 2011-04-03 17:01 | Market(マーケット事件簿)

はちご先生

はちご先生に触発されて、株式市場まわりに書いてみるなど。

普通の方は株を買うとき、「東京証券取引所」で取引をされることがほとんどだと思われます。
ですが、東証で株を買ってその後どうなってるか気にしない方も多いと思われます。
ので、決済についてとか、OTCマーケットとか、レンディング市場について少し書いてみようと思いいます。

普通東証で株を買うと、T(トレードデート、実際に株を買った日)+3(営業日)で実際の株券と現金の受け渡しが行われます。つまり、4月1日に株を買ったとして(土日をはさまないとすると)4月4日に実際に株券と現金の決済を行います。

普通の方はいわゆる「カウンターパーティ」リスクなんぞなにそれ?って感じだと思います。デリバティブなどの”相手と1対1で取引する”場合は、取引相手がもしかしたらつぶれて、買った株券渡してもらえないかも、、、っというリスクがあります。これがカウンターパーティ(取引相手)リスク。東証で株を買った場合、もっとも特徴的なのが、このカウンターパーティリスクが低い(ない、とは言いません)所にあります。

脱線しますが、アメリカなどでデリバティブの規格化標準化、取引所への取引集中というのはこのカウンターパーティリスクの遮断という側面があります。デリバティブ(金融派生商品)は各個別の取引ごとに微妙に条件が違ったりして、一般化されていません(細かいことはISDAといわれる、デリバの大元の契約書で標準化されていますが、、、)。一方で取引所取引は”だれでも””規格化され””受け渡しまで規定され””売買相手は全て取引所”という特徴があります。

「そんなん普通じゃん?」と思われる方がおられる方も多いと思いますが、普通私達の商取引において全ての条件が一緒、という取引はまれ、だと思われます。つまり株券(会社の所有権を象標化し一般化した券面)という”一般化した”券面を、”規格化”したマーケットで”価格のみを交渉して(板売買)”取引するのが証券取引所となります。

そして一番大切なのが”決済上”での”売買相手”が証券取引所、というところ。普通株を買った場合、”売り手”というのはわかりません。もちろん証券取引所は”売り手”も”買い手”も把握しています。が、私達は株を買ったとき、わざわざ相手を見つけて株券と現金を渡す手間を省くことができます。

証券取引所は何をしているのでしょうか?
証券取引所で売買できるのは指定証券会社となります。指定証券会社は自分のところのお客様が売買する株等の明細を把握しています。証券会社は証券取引所を通じてその取引の決済(株券と現金の受け渡し)を行います(上記T+3で)。株券そのものは”ほふり”と呼ばれる保管振替機構に集中的に集められています。現在は上場株券は紙そのものは物理的になくなり、電子データとなっており、証券会社とのデータのやりとりだけとなってます。
証券会社は全てのお客様の売買を通算し、差分のみの株券をほふりを通じて現物株券の移管します。一方で各売買主体ごとの細かい現金決済もまとめて東証と決済を行います(この時の指定現金決済銀行に仙台の77銀行が入ってたりするんですが、理由を知りたい方はググッてみたら面白いかも)。

一方で通常の株売買市場で”ザラバ”といわれる普通の売買市場以外に”立会い外””市場外”取引といわれる市場があります。

先ほど取引所取引の特徴として”売買相手がわからない”というのを挙げました。一方で機関投資家など大口で取引する場合、”一日では売買できる量じゃない”けど、”今”売りたい、というニーズが発生します。投資信託とかが突然の大口解約で資金が必要立ったりする場合ですね。
この場合使われるのが”立会外””市場外(OTC:オーバーザカウンター)”市場です(東証の場合はTostNet、大証/JASDAQはJ-Net、証券会社が相手での場合取引所を通さない市場をOTCというなど)。
これはザラバ取引が”決済相手は”取引所ですが、売買相手は不特定多数、というのに対して、売買相手が確定していて、決済相手が証券取引所(もしくは証券会社)というものです*。
*ここで取引所取引が決済など”規格化された”取引にだと書きましたが、一方で証券会社が相手となるOTC取引はこうした規格化した部分をカスタマイズできます。例えば決済をT+2にしたりT+1にしたり。株式市場で一般にOTC取引というと決済は証券会社経由、売買報告は証券業協会(JSDA)となっています)。

こうした売買は多くが”証券会社”が相手となり、売買が行われます(顧客同士で相手を見つけて売買する場合も多い)。取引所が”商いを集めて””売買相手を見つける”という機能を証券会社が代替しているともいえます。

証券会社が相手となるとき、顧客がある銘柄を”買いたい!”といったとき、証券会社はプライスを提示し、合意できれば立会外市場で売買を行います。このとき売り手の証券会社はT+3で相手に株券を渡してあげないといけません。

このとき出てくるのが株券レンディング(貸借)市場。
もちろんその日のうちに買い戻すことができれば株券の受け渡しは一日のネッティング決済ですから受け渡すことができますが、買い戻すことができなければ株券をT+3で受け渡すことができません。そのため証券会社はその当該銘柄をもっているところから株券を借りてきます。これを株券レンディングといいます。

レンディング市場というと”空売り”と密接な関係があります。通常空売りとは”株券を他社から借りてきて、売却し、価格が下がったところで買い戻して利益を上げる”という行為です。この”株券を借りてくる”市場がレンディング市場といいます。

通常証券会社のレンディングデスクは大口の株券保有主体(信託銀行など)と連絡をとって、株券を一年契約などでまとめて株券を借りてきます(消費貸借契約)。TOPIXなどのインデックス運用のFM等が貸し出しの主体となり、通常数十bpsでまとめて数千億単位で年間貸し出し契約を結んでいる例が多いと思います。証券会社のレンディングデスクはこの借りてきている株券の在庫を見ながら様々な主体に株券を貸し出しを行います。

、、、しかし思った以上に長くなってしまったなー、、。
とりあえず本日ここまでー。また次の機会にー
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by ttori | 2011-04-03 11:22 | Market(マーケット事件簿)



小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
by ttori

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