最近読んだ本

暑いですなあ。。。

f0005681_13294773.jpg政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年
ジェラルド・カーティス (著)

アメリカの日本研究の第一人者、ジェラルド・カーチス・コロンビア大学教授のみた、戦後からいままでの日本の文化・政治。1964年に学生として始めて日本にきて、現在まで日本政治の専門家とてして活躍されている著者の、日本に対する率直な意見がかかれてます。
特に実際に政治家の家に泊まり、時に選挙を裏側から眺め、政治の研究してきた方で、特に日本人の専門家とは違った、客観的な分析がとても面白い。特に日本人は”日本特殊論”を話したがるが、実際には(特に政治は)そんなに他国と違うわけでもない、という点を示しています。

また、55年体制と言われた、戦後日本の社会構造を政界・官界・財界の”インフォーマルなコミュニケーション”体制と位置づけ、その変化こそが55年体制の崩壊としている点は、個人的にもそう考えていた(例えば、金融業界でいえば護送船団方式の崩壊と、金融庁の事後チェック体制など)のと合致しましたし、日本人の価値観の変化がもたらした影響や社会の変革に政治がついていけてないこと、選挙制度の変更がもたらした政治への変化など、改めて考えると日常の私達の身の回りに実際に起こっていること、日常感じていることをきれいにまとめられている本です。

確かに私個人としては目新しい話はあまりなかったですが、それでもきちんと日本社会の変化を外の目から的確に捉えている点、政治の変遷がわかる、読み物としておもしろい本だとおもいました。

その2
f0005681_13301265.jpgリスクテイカー ネット金融維新伝
大下英治 (著), 日本証券新聞社 (編集)

表紙をみると怪しげ系(笑)だったので、いささか手に取るのがはばかられましたが、きちんとした本でした。ネット金融(というかネット証券)を立ち上げた、SBI北尾社長、マネックス証券松本社長、カブドットコム証券、松井証券、楽天証券の社長達の生い立ちから、実際にそれぞれの会社を立ち上げるまで、現在の業況まで追っています。当然、悪いことは書かれていませんが、それでも事実を淡々と追っています。
色分けとして、大企業からネット証券の可能性に乗った金融のプロ(野村證券からソフトバンクに転職した北尾氏、ゴールドマンを辞めてマネックスを立ち上げた松本氏、住友銀行からDLJディレクトSFG証券、楽天証券社長となった国重氏)と、システム部門が独立して金融のプロではない視点から市場参入したカブドットコム証券、元々証券業界で”ルールブレイカー”であった松井社長と、それぞれの視点から、それぞれのビジネスの仕方をおっています。

個人的にはマネックスの松本社長のファン(笑)なので、その部分だけでもおもしろかったです。ビジネスの裏側にはいろんな人がいて、単に”○○会社”が××をした、といってもその裏では人がそのアクションを決め、商品を開発した事実があるわけで、それを再確認できたという意味でネットという、情報だけが巨大になっていき、人間の顔が見えなくなりがちな現代社会で、こうした人を扱った本は貴重だと思った私は思いますが、いかがでしょうか。
一点、気になったのは制度改正について、政治家同士の会話。持ち込んだ方は「今後の資本市場のため」と思って持ち込んだのに、斡旋した政治家同士の貸し借りの話にすり替わってしまい、それを指摘すると「政治家の問題解決の方法に口出しするな」といわれる点。なんとも言いようのない虚脱感を覚える一面です。

その3
f0005681_13305719.jpgサブプライムを売った男の告白―欲とペテンと無知!
リチャード・ビトナー (著), 金森 重樹 (監修), 金井 真弓 (翻訳)

アメリカで実際にサブプライムローンを売っていた(ローンを引き受けていた)人の告白本。ウオールストリートの論理や、高所大所からの議論ではなく、最前線での事実が克明に書かれています。そもそもローンを売るとはどういうことか。ここではローンブローカー(実際にローンを個人に仲介する業者)・ローンレンダー(融資(お金を貸す)人)・それを証券化する人それぞれの役割を説明し、現場で何が行われていたかが描かれています。
ブローカーはとりあえず客を捕まえてローンを組ませれば大金が転がり込む、しかもリスクの高いサブプライム(信用状況のよくない客への貸し出し)のほうがマージンが厚いため、中にはプライムで借りれる人にまでサブプライムローンを組んだとか、本来レンダーは貸し先を選別する必要があるのに、証券化するための”材料”として第三者に転売するためにほとんど機械的に審査を行ってウオールストリートに売りつけた、さらにそれを仕入れた投資銀行もそれを一まとめにしてお化粧を施し、機関投資家に売りつける、、、という姿がかかれています。
もはやここまで来ると本来の借り手の姿なぞ影も形もなくなってしまい、現実から乖離してプライシングされていた現実が暴露されています。
その背景として、本書では86年の税制改正などの影響などが指摘されています。
(このあたり、制度変更が金融(モーゲージ)市場に与えた影響ということでは、有名な「ライアーズポーカー」にも、81年のS&Lへの租税特別処置法によってモーゲージ市場が突然脚光をあび、出来高が急騰してソロモンがぼろ儲けする姿が描かれています。)
ようするに統計という方法が客観的で万能だという思い込み(というか楽)から本質を見誤り、楽な金儲けの手段として使われたこと、それこそが全ての元凶だと思います。特に貸してはいけない人への無理な貸付、統計の元となっている信用スコア対策、さらに書類の改ざんなど、多分プライシングの元となった数字がどれだけ”うそ”に基づいた数字だったかが暴露されています。

じゃあなんでこんなことになったのか。証券化が問題なんぞという人はいますが、それでは事の本質を見誤ってしまう、と個人的には考えています。証券化は一つの方法でしかないわけで(証券化が悪い、という人はじゃあ株式投資はしていないのか、債券だってあくまで債権を証券化した商品でしかない。その本質はマーケットで転々流通かさせ、所有者を変えながら、リスクを時間分散させて運んでいく一つのファイナンスの手法でしかない:その本質から外れたのが問題、という議論もありますが、、流動性のない商品の危険性はプロならば承知しているはず)要するに金余りでの安易なファイナンスが横行した、というのが本質だろうと思います。

前にも書きましたが、人は数字を示されるとそれを鵜呑みにしてしまう傾向があります。例えばある病気は1000人に一人の割合で発症する、とか。でもたとえ1000人に一人でもその一人は必ずいるわけで、その人にとってはそんな割合はマッタク意味を成さない。ときとして数字は主観的な(主義主張を正当化するために作られた)物であることが多いのです。私はクオンツという、統計を使った仕事をしていますが、本当に重要なのは数字の意味するところ、数字のバックグラウンドを理解し、そしてマーケットにはその裏側にいろいろな人がいること、現実から遊離しないことだと考えています。
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by ttori | 2008-08-16 12:59 | 本 / CD / TV
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
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