サンディ・ワイル回顧録(上下)

f0005681_2048551.jpgサンディ・ワイル回顧録―世界最大の金融帝国を築いた男 (上・下)
サンディ・ワイル (著), ジューダー・S.クラウシャー (著), 武井 楊一


ウォール街の伝説のパワーブローカーにして、シティグループ元会長、サンディ・ワイル氏の自叙伝です。

若きワイル氏が、小さな証券ブローカー、カーター・バーリンド・ポトマ&ワイルを創業、その後ヘイドンストーン、ローブローズ、シェアソンなどと合併を繰り返しながら巨大ブローカー・シェアソン・ローブローズを作り上げ、その会社をアメリカンエキスプレスに売却しアメリカンエキスプレスのトップに上り詰める。その後アメリカンエキスプレスを退社後は、小型の消費者金融会社コマーシャルクレジットを皮切りに大型の金融コングロマリット・プライメリカ、トラベラーズ、ソロモンを買収、そして最後には世界最大の銀行シティコープと合併し、金融コングロマリット・シティグループを作り上げるまでの過程を描いています。



注目すべきはその回りの人材の多彩さで、やがて米SEC委員長になるアーサー・レビット氏やNASDAQのフランク・ザーブ氏、シティの最大のライバルとなるJPモルガンのCEOとなるジェミー・ダイモン氏など、多士済々が彼の周りを彩ります。

残念ながら結構な部分が表面的な記述に終わっていたり、当然ながらワイル氏の目から見た感想なので、一方的に彼の元から去っていった人間について否定的な見方をしている記述もあります。
しかしながら、アメリカのビジネスの中心で振り落とされずにトップまで上り詰める人間の押しの強さやエゴの強さ、有能さが垣間見え、なかなか興味深い読み物です。個人的な感想としては常に”俺がボスだ”という態度を崩さなかったワイル氏、彼の地位を脅かすものを常に排除し、彼に忠実に従う人間ばかりが最終的には残ってしまった印象があります。

手法として賞賛すべきは常に利益を出すことを優先し、セールス・ブローカーを重視し、自らのバランスシートを常に律して強固にしておくその手法で、それがあるからこそ、景気に逆風が吹いたときに苦境に陥った名門企業を安値で拾い、小が大を飲み込むことができたのだと思います。また、常に自らのブランドを超える、名門企業に目を付け、企業名を変えていったことからもわかるように、ブランドというものを重視していた点も(現代ならばコーポレートブランドを重視するのは当然ですが)過去明確にこのことを戦略に取り入れた経営者はワイル氏のほかにあまりいなかった(もちろん名門企業の社名についてのこだわりはそれなりにあったでしょうが)のでは、と思います。

上にも書きましたが、あくまでこれはワイル氏の自叙伝なので、それを割り引く必要がありますが、それにもまして、60年代から大きく花開いたアメリカ金融業界の変遷を内側・人のつながりといった面から知るにはかなり面白い資料ではないでしょうか。
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by ttori | 2007-09-17 20:44 | 本 / CD / TV
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
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