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Bad day

いやー、ひどい一週間でしたね、、、。

私は”株式”周りの”クオンツ”系の仕事をしているのですが、今週はめったに見れないものを見れました。



順を追って整理してみましょう。

7月から8月にかけて、アメリカなどの株式市場ではバリュー系ファクターが効かない、という現象が起こっていました。ちなみに”クオンツ”(統計技術を使って株式運用をする人達)では例えばユニバースの1000銘柄をPERPBR、配当利回りといったファクター(指標)を使って割安、割高でランク付けし、割安な銘柄上位200位をロング(買いもち)、下位200位をショート(売りもち)してロングショートポジションを構築したりします。こうした財務ファクターをバリュー系ファクターといいます。一方で成長性をはかる指標はグロース系ファクターといいます。多くのファンドマネージャーは企業の財務分析を行い、キャッシュフロー見積もりをしたり将来の収益見通しなど、いろいろな方法で銘柄選定を行いますが、結構こうした指標を投資判断に使うバリュー(割安株投資)にウエイトが偏ってたりします。

多くの株式の運用ファンドは各国の硬いファンダメンタルを信じて結構レバレッジをかけたりして運用していたようですが、運用がバリューによっていたファンドの多くがマイナスリターンになってしまっていました。ただ、4月5月あたりまでバリューファクターが効いていた関係で特に気に留めていた人は多くなかった感じがします。

ところがサブプライム問題等々、様々な問題が噴出し、大手ファンドで大きなドローダウン(損失)が出始めた8月頭から雲行きが怪しくなってきました。

そして先日下記にも記しましたが、今週頭、世界最大級のクオンツ・ヘッジファンド、ゴールドマンサックス・アセットマネジメントの”グローバル・アルファ”が大きなドローダウンをおこして、巨額の解約に見舞われている、という噂がでていました。発端はウオールストリートジャーナルNYタイムズの記事だと思います。グローバル・アルファという”巨人”の損失を受けて、実際にその解約売りが出たのか、多くのクオンツ・ファンドマネージャーが「彼ら(グローバルアルファ)が解約売りを始める前にマーケットから逃げたい」と思ったのか、極端なポジションのアンワインド(解消)が出たのかさだかではありませんが、今週の8日水曜日、ついに世界的に意外とバリュー系ファクターの値もちのよかった日本のマーケットも大崩壊をします。

東京の株式クオンツではかなり有名なここにかなり詳しく状況がでていますが、私も日中、PERなど様々な指標のリターンを簡単なエクセルツールを使ってリアルタイムで見ているのですが、これまで見たことないような異常数値が出ていました。通常、PERなどの基本的なファクターリターン(ユニバースの銘柄の上位5分の1の銘柄の平均リターン-下位5分の1の銘柄の平均リターン)は一日に大きく動いても数十bps(ベーシスポイント:100分の1パーセント)程度しか動かないのですが、突如として数%の単位でマイナスを記録していました。こうした事態はめったにありえない数値で、一般に統計的には確率分布(その事象がどれくらいの頻度でおこるか)でいうと5σ(シグマ:つまり通常であれば確率的にほとんど起きえない事態)近くに相当する数値となっていました。

水曜日のこうした事態をうけて、多くのクオンツ系のファンドマネージャーがマーケットから逃げだし始めたようです。特にレバレッジを効かせているHFマネージャーは損失拡大を食い止めるために、そのレバレッジポジションを解消しようと努めたようです。

そして暴落2日目の9日木曜日、またしてもバリュー系ファクターが崩落、あっちこっちでクオンツファンドが”ぶちっ”とか”ぼきっ”とか音を発してぶち壊れていく様が目に浮かぶような様相が展開されます。東証の出来高は過去最高を記録(途中、東証のシステムが遅延していたらしく、「東証のシステムは大丈夫か?」という声がでてました)、そしてまたしてもバリュー系ファクターが大幅なマイナス・パーセント(ベーシスポイントではない!)のリターンとなり、”噂”が本当に自分のポートフォリオに大きな影響を与えていることがはっきりし始めてきます。通常混乱のピークを”セリング・クライマックス”といいますが、今回ロングショートファンドもアンワインドの大波に巻き込まれ、ポジションを強制的に閉じる向きが多発したのか、特に意味不明に値段を上下に飛ばす銘柄が続出、大型銘柄が乱舞する事態となりました。
そしてこの日も統計的には5σの世界。もはや統計が意味を成さない事態となって、世界各国から悲鳴が聞こえてきそう(というか実際聞こえてきたσ(-_-;))でした。。。
特に、前場極端にバリュー系ファクターが崩落したのをみて、勇気をだして買い向かった人がいたのか、後場から一転少し戻しますが、一時間もしないうちに押し戻される展開、、、。

3日目の10日金曜日、ついにTOPIXや日経(インデックス)も崩れるにいたって、アクティブ系のファンドにまで大きな影響が出始めています。相変わらずバリュー系ファクターはダメダメ、多くのファンドマネージャーはバリューティルト(割安投資)の人が圧倒的に多いのですが、アルファ(バリューティルトで稼いでいたリターン)でもベータ(市場リターン:通常ファンドのリターンはアルファリターン+ベータリターン)でも吹き飛ばされて、呆然となってしまったFMも多いとのこと。

もはやこうなると統計的には百年に一度起こるか起こらないか、という世界になってきてます。
まあ、それもこれもファットテール事象だといってしまえばそれまでなんですけど、、。
【追記】もちろん上記はサンプルの母集団が少ないとか、そもそも正規分布に当てはめるのが間違いとか、いろいろあると思います。イメージとしてここに正規分布の表がりありますが、要するに確率的にほとんど起きないことが起きたくらいに捉えていただければありがたいんですけど。3σで0.9987、つまり1万回で13回起きる、約769日に一回、平均3年(営業日ベース)に一回起こる事象をいいます。5σはもっと大変。

いろいろ話を聞いたのですが、「悲惨です」「めちゃくちゃです」との声が圧倒的。
「これはスペシャル・シチュエーションだ。ファンダメンタルではなく、需給の一時的なゆがみで値段がとんでいるから、戻るときも急速にもどるはず。今ポートを見直すと、戻りが享受できなくなるからしばらくがまん」という意見もききました。4月5月に稼いだリターンをこの3日ですべて吹き飛ばしたファンドも多いと思います。
くだんのグローバルアルファ、解約期限は8月15日だそうで、受け渡しベースでは金曜日が最終、「来週からは少しはましになる」と淡い期待を持つマネージャーも。

しかし事ここにいたって、ロングオンリーのFMまで巻き込まれ始めると、その規模は巨大です。これまで投資してきた”割安銘柄”がさらに割安になっていて、リバランスするにも「どうしたらええねん(<?)」の世界。基本的に彼らはフル・インベストなので、何かを叩き売らなければナンピンする余力はございません。投資銀行のプロップデスクなど比較的機敏に動ける向きも、これだけマーケットが動くと実額ベースのエクスポージャーはリスク管理で削られているはず。
ただ、CDOなどと比べて株は「売れば値段が付く」世界。個人的にはポジションアンワインドによる調整はそんなに長引かないと考えています。

世界に目を転ずるとBNPパリバのABSファンド3本が解約凍結、ECBやFRB、日銀がマネー供給を始めています。しばらく金融市場の動揺は続きそうですが、知人のエコノミストがポツリと、「それでも日銀は利上げするんだろうなあ、、」。
、、、かんべんしてください、、、。

【追記】いろいろ出てます。こことかこことかこことかこことか。
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by ttori | 2007-08-10 22:03 | Market(マーケット事件簿)
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
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