熊、大火傷。マーケット事件簿4 Part1

マーケットの話題、といいながら、最近はマーケット事件簿になってしまっている気がしますが、、、。

アメリカの大手投資銀行、ベアー・スターンズ子会社のベアスターンズ・アセットマネジメントが運用していたヘッジファンド2本が大幅な損失を出し、融資していた他の投資銀から保有資産を担保として差し押さえられ、破綻状態になっているとのこと。(こことかこことかに詳しい)



今朝のBloombergのニュースでは、融資団の一つ、メリルリンチが融資担保となっていた債券を差し押さえ、その債券の競売を行おうとして他の債権者ともめているとのこと。

このファンド(一つはハイグレード・ストラクチャードクレジット・ストラテジーズ エンハンスト・レバレッジ・ファンド)はその名の通り、大幅なレバレッジ(ある記事では10倍程度)をかけてMBS(住宅ローン担保証券)やCDO(債務担保証券)で運用していたファンドだそうで、サブプライム関連の余波で大きな損失を出し、レバレッジをかけるために借り入れた債務の返済にせまられているようです。さらにここ数週間でアメリカの債券市場が大幅に下落し(金利が上昇)、つられて住宅ローンなどを証券化した債券価格が大きく下落しております。
(私は主として株式畑の人間なので、詳しい内情はあまりしりませんが、債券の構造上住宅ローン担保債券などは金利上昇で期限前返済が減り、デュレーションが伸びてしまうため、通常の債券よりもさらに価格下落が激しくなる:株式的に言うと金利ベータが高い、ということ?とのこと。ついでに中に含まれている住宅ローンのデフォルトの確率も上がるので余計辛い)

そもそもベアスターンズは日本ではあまりなじみがないネーム(私も知り合いはいません、、)ですが、アメリカの大手投資銀行の一角(他はゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、リーマンブラザースなど)を占め、債券ディーリング、特にモーゲージ(住宅ローン)関連や、ヘッジファンド向けプライムブローカー業務(HFのファンド経理から融資、執行トレーディング、決済業務などを行う業務)でTOP3に入る抜きん出た存在で、かなり個性的な銀行です。

個人的に注目したいのは、LTCMの破綻時、「一銭もださない」とごねていたといわれるベアスターンズが、今回は積極的に救済に回っているということ。ファンドの債権をJPモルガンから買い取ったり、GSやバンカメとは債務の直接決済を行い、担保資産の保全を図っています。(そして大手の投資銀行が手を携えてファンド救済に向かっており、その様は「第二のLTCMだ」と揶揄する記事もありましたが)

もちろん、このファンドがもっているMBS、CDOが投売りされると、もともとそんなに流動性がないマーケットなので、マーケットを壊してしまう可能性があります。そうなると、ベア本体のポジション(多分同じようなポジションを抱えていると思われる)を痛める可能性があるため、それを避けるためにこうした措置を取っているのでは、と思われます。関連して、BSCがMBSの値段をつり上げている、との声がでているとの記事がありました。
さらに、もしファンドが清算されるとなると、他のHFを巻き込む恐れもあります。こうしたMBSやCDOなどを、リクイディティのないマーケットで投げ売られると、同様のポジションを持っているファンドは手持ちのポジションのマークダウン(評価値段を下げる)する必要に迫られ、ファンドの基準値段を押し下げ、運用成績を押し下げると思われます。そうなるとかなり広範囲に影響(ファンドの破綻など)が出ると思われます。

現在多くの投資銀行がヘッジファンド事業を抱えています。多くのHF部門は外部資金を導入し、他者資金の運用をしています。今回の騒動を見ていると、そのHF部門が不振になったとき、本体の投資銀行はどこまで責任を負うのか、という疑問がわきます。(もちろん、一義的には彼らに救済する義務はないのですが)
今回、BSCは積極的に救済に回っていますが、今後類似の事例が発生したとき、本体の銀行はどのような措置を取るのか、もしかして、本体が暗黙のセーフティネットをつけているのか(そんなことはないと思いますが、、)、その場合、本来銀行のバランスシートからはずされている子会社HFの債務にどこまで責任をもつのか。

現在多くの投資銀(ゴールドマンから、国内では野村まで)がHF投資や外部HFの買収を行ってHF業務拡大に余念がないですが。そうした状況を加味しつつ、今回の事態は興味深くウオッチしたいと思います。

【追記】最終的にはベアが資金提供を行い、救済するそうです。
まあ、これによってベアはうまくすれば利益がでるかもしれません(そもそもファンドにはほとんどベア本体の資金を入れていないと思われるため、引き受けるポジションの値決めによっては利益がでる)が、今回の事態で本体のポジションにどれだけ影響がでるか、そもそも債券トレーディングが急停止していないかが重要だと思われます。
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by ttori | 2007-06-21 20:27 | Market(マーケット事件簿)
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
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