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突然の破綻 マーケット事件簿3

UBSのヘッジファンド,突然の閉鎖の裏側-LTCM並みの損失も

2年前に鳴り物入りでUBSが設立したヘッジファンド、ディロン・リード・キャピタルが突然閉鎖されたとのこと。UBSはこれに伴い大きな特損を出したと報道されています。



ディロン・リードキャピタルは、2年前、UBSのIB部門トップだったジョン・コスタス氏をヘッドに、UBSのトップトレーダー80名を移籍させて立ち上がりました。コスタス氏はさらに人員増強し、社員にサラリーも大きくだしたとのこと。さらにUBSからのファンドへの初期投資は35億ドル(約4300億円)にも達したと報道されています。
ところが、ディロン・リードは3月に大きなドローダウン(損失)をだして、UBSは突然ディロン・リードの閉鎖を決め、ファンドを解散を決定しました。ディロン・リードのポジションはUBSのIB部門に吸収される、との事です。

直接の原因はサブプライム関連で大きな損失を出したとのことですが、損を出したらファンドを閉鎖する、というのは個人的には少し短絡的ではないか、と思います。ある記事では、「そうはいってもポジションはUBSのIBに吸収される。ロスが出ないとは言え、多くのポジションはリクイディティがなく、時価評価が難しい商品が多いだろう。また突然資金返還すると資金を突っ返された投資家はどう対応をしたらいいのか」と恨み節を書いていましたが。

結局UBSが何をやりたかったのか、ということですが、記事などを読む限り稼ぎ頭のプロップトレーダーがヘッジファンドへの流失するのを食い止めるために、その受け皿を作りたかったようです。そして、魅力的なサラリーを払うため、手数料を高めに設定したと思われます。

そしてこの事件のもっとも重要な点は以前議論しましたが、自己資金と顧客資金を一緒に運用するのに大きな制約が存在し、それが行えなかった、という点だと思います。

現在巨大投資銀行の稼ぎ頭のトレーダーは、HFの払うサラリーの高さ等からどんどん外部へ流失し、巨大金融機関は、これまでのマーケットでのリスクテイカーの役割をどんどん失っている、という現実があります。つまり、新商品やハイリスク投資での流動性供給やプライシングの役割低下を起こし、その機能をヘッジファンドに奪われていると思われます。
(まあとはいえ、直近ロンドンでのプライムブローカー分野でUBSが躍進したのは元UBSのプロップトレーダーが大きな資金を集めてヘッジファンドを立ち上げたから、というおまけがつきますが。)

たしかに投資銀行はほとんどが上場企業であり、厳密なキャピタルコントロールを行ってるのがこの機能低下の原因だと思います。その結果、ハイリスクを引き受けず、バランスシートを使わず、ブローカーに特化していくとそのマージンはどんどん低下していきますが、資本効率はよくなるでしょう。しかしリスクをとらない、という体質は組織の保守化を促し、金融商品設計力を喪失していく危険性があります。
【追記】(そして、当然、大手金融機関のトップはそのあたりの事を十分わかっていて、どうするか苦慮しているのが現状だと思われます)

結局今の金融機関は、金融小売業か、商品設計・ブローカー業(M&Aブティックを含む)、そしてファンド運用業(含むヘッジファンド)へ機能分化していくのではないか?とおもいます。
GS等はこの中でファンド運用業(&社内ヘッジファンド)へ傾斜しているのがわかります。
【追記】そしてプロップブローカー機能を強化していくと、顧客のHFやPEと利益相反の問題も出てきます。

今後各金融機関がどのような戦略変化を起こしていくのか、ヘッジファンドやPEの上場といった話題とあわせ、注目したい点だと思います。
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by ttori | 2007-06-09 12:05 | Market(マーケット事件簿)
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