天然ガス先物マーケットは、あまりきちんとウオッチしている市場ではないのですが、結構話題になっていたのでアップ。
アマランス・アドバイザーズという大手ヘッジファンドが、天然ガス市場で大損失を出して、現在ファンドを管理しているプライムブローカーと協議をしている、という。 アマランス・アドバイザーズは大手ヘッジファンドのパロマ・パートナーズからスピンオフ(独立)したファンドで、運用資産が約950億ドル(約11兆円)もあり(多くのヘッジファンドは運用資産1億ドル以下)、数多くあるヘッジファンドの中でも資産規模ではかなり上位に入ると思われるファンドなのですが、ここ一ヶ月の天然ガス先物市場の乱高下で巨大な損失をだし、ファンド全体の半分!(それまでの運用成績は26%プラスだったらしいので年初来は36%のマイナス)を吹き飛ばしたらしいのです。 (しかもまだポジションが残っているらしい、、、) 天然ガス市場といえば、先月同じくNYMEX(ニューヨーク商品先物取引所)の元社長が起こし、天然ガス市場などで裁定取引を行っていた運用資産4億ドル(約450億円)のマザー・ロックというヘッジファンドが、マーケットの乱高下についていけず(急騰したときにショートスクイーズされたとのこと)運用資産の約7割を失うという大損失を出して破綻した、という話がありましたが。 、、、しかし、いくらボラが高まったとはいえ、ファンドの半分を一つのマーケットで吹き飛ばすとは、どんなポジションの取り方をしていたのでしょうか。。。 、、、しかも、天然ガス先物市場って(株や債券といった普通のマーケットと比べて)そんなに大きなマーケットではないのに、5,000億円も吹き飛ばすポジションってどんなのなんでしょうか。。。(どんだけレバレッジかけていたのでしょうか、、、) ファンドの破綻というと、98年のLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)が45億ドルを吹き飛ばした話が有名です。が、LTCMはスワップやエクイティ・ボラティリティ・ショートなどいくつかのポジションで損失を出したうえ、LTCMでも最大のロスポジションで16億ドルといわれていますから、今回の損失がどれだけ大きいかわかります。 ここのところ、原油や金など、コモディティマーケットが大きく乱高下してますので、主に商品先物に投資しているCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー:商品投資顧問会社)ファンドなど、かなり打撃を受けているところがあると思います。 怖いのは、こうしたCTAはグローバルにポジションを取っている場合があると考えられるので、意外なところで大きな影響が出てくる可能性があると考えられます。 しばらく注意してマーケットを見る必要があると考えられます。 【追記】:これに付随して、アマランスは投資家の解約に備えてロンドンでシンジケートローンを20億ユーロ(3000億円)ほど売った、との話が出ています。 参考:日本橋ふぁんど日誌さん 東京でも一部CBに売りが出たとのこと。 また、他のヘッジファンドがブックごと引き取る交渉をしているとも伝えられています。 しばらく余波はありそうですね。。。 【追記2】:最終的には、エナジーブックをHFのシタデルとプライムブローカーのJPモルガンがバルクで引き取ることになったようです。このポジションの最終的な損失は60億ドル(7000億円!)以上とのこと。32歳のトレーダーは一人で1兆円以上のポジションを持っていたらしく、単一マーケットでこれだけポジションを持っていると、リクイディティはないに等しいでしょう。ここまで一人のトレーダーにポジションを持たせたリスク管理部門は軽率の批判を免れないと思います。もちろん、昨年大きく稼いだ、という前例があるので、管理部門としては何もいえなかったのでしょうけど、、、。
by ttori
| 2006-09-19 20:48
| Market(マーケット事件簿)
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