JPモルガンのトレーダーの持ち高でクレジット指数ゆがむ
米銀大手JPモルガン・チェースで企業の財務力に関連するデリバティブ(金融派生商品)を扱っているトレーダーが非常に大きなポジションを取り、10兆ドル(約813兆円)規模の市場で価格をゆがめている可能性がある、と外部のトレーダーが語った。 取引相手となっているヘッジファンドやライバル銀行の5人が匿名で語ったところによると、このJPモルガンのトレーダーはロンドン在勤のブルーノ・イクシル氏。同氏が専門にしているのはクレジット・デリバティブ指数で、企業のデフォルト(債務不履行)の可能性に賭ける市場としてはこの10年で社債を追い越して最大規模になっている。 投資家の間では、イクシル氏の取引が価格をゆがめている可能性があり、多額の債券保有のヘッジとしてクレジット・デリバティブ指数を利用している債券保有者に影響を及ぼしているのではないかとの不満が出ている。アナリストやエコノミストもクレジット市場のリスク認識を測るのにこの指数を利用している。 イクシル氏は自己ポジションを他のトレーダーにほとんど明かしていないが、他のトレーダーはこれらの取引の反対の立場を取っており、同氏の注文はこれまで出合った中で最大の規模だという。2人のヘッジファンド・トレーダーはイクシル氏が市場に参加したとディーラーから告げられた際に、異常に大幅な価格変動が見られたと述べている。(中略)格差が縮小することに賭けていた一部ヘッジファンドは価格差の持続にいら立っており、一部のトレーダーはイクシル氏がいずれ一部の持ち高を清算するとみてポジションを追加したという。 イクシル氏は顧客に代わって証券を売買するトレーダーとは異なり、同行財務部の傘下にある市場リスク管理と余剰資金投資を担う部門であるチーフ・インベストメント・オフィスに勤務している。広報担当のエバンジェリスティ氏によれば、同部門は「長期の組織的な資産負債管理に重点を置いており、短期的な利益を重視してはいない」という。 (中略) クレジット指数市場の規模や構造を理解している複数の関係者が取引や価格の動きから推定したところでは、イクシル氏はマークイットCDX北米投資適格指数シリーズ9で1000億ドルのポジションを積み上げた可能性があるという。 4月6日(ブルームバーグ) うーん、、、微妙です。。 ちなみにこの件のトレーダー、JPモルガン・チェース銀行ロンドンのCIO(チーフインベストメントオフィス)に所属しているようで、投資銀行のトレーダーとはまた若干違う立場とのこと。 多分有名な藤巻さんもこの部署所属だったと思いますが、このオフィスは要するに”プロップの中のプロップ””なんでもあり”の、バンキングサイドの有り余る余剰資金を使ってALM的観点から儲けましょう、という部署だと思われます(こちら)。そしてJPモルガンチェース銀行全体の巨大なBSクレジットリスクを考えながらポジションを取るとすると、これくらい(8兆円)はポジションをとってもおかしくないと思われ(それを言い出すと日本のメガバンクの国債やスワップポジションなんてもっと大きいです)。特に北米企業向け融資を多額に抱えているでしょうから、ALM的観点からクレジットリスクヘッジを自分とこの収益に直接的に影響を及ぼすくらいポジションを持とうとするとこれ位はもたないとダメだと思われます。 もう少し突っ込むとすると、この文句言っているHFトレーダーも微妙です。もし価格がゆがんでいると思うのならば逆ポジションをとればいいだけの話。どうもコメントだけ見てると実際に逆ポジションをもっていると思われどう見てもポジショントークです、ありがとうございました、という世界。まあ、Bloombergを使って自分に有利な方向にもっていこうという意識が堂々と見えてなんだかなー、とは思います。しかも文句を言ってる原因は”格差が縮小することに賭けていた一部ヘッジファンドは価格差の持続にいら立っており”って、普通なんのこっちゃ?って感じ。個人的推測ですが、確かMarkitのシリーズっていわゆる単純平均ウエイト指数だったような気がするので、まあ要するに単純平均指数なんで、リクイディティがなかったり市場規模が小さい銘柄までインデックス投資で一切合財買われて、指数構成の各銘柄の値付けが歪んで(多分)ファンダメンタルドリブンのHFマネージャーが特殊需給で持ち上げれらて損して、文句を言ってるだけでは?とも思え。株だってインデックスの入れ替えイベントプレーとか普通にされますし、何をいわんや、という感じですが。 しかし最近こーいった話はJPモルガンばっかりですな、、、。昨年出てた銅市場での買占め事件といい、最近なんだかJPモルガンが池の中の鯨と化してマーケットで暴れてる印象。こないだの部門別の収益状況をみても、債券分野では一人勝ちの様相を見せてますし、ちょっとしたこうした動きはたたかれやすい状況なのかもしれません。
by ttori
| 2012-04-09 21:53
| Market(マーケット事件簿)
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