法案通過

不気味な下げ方、、一部では欧州で今週末に金融機関が破綻するとかいろんな噂が飛び交っているようですけど、、、。

米上院:金融規制改革法案を可決、下院案と調整へ(Update4)
米上院本会議は20日夜、金融規制改革法案を可決した。同法案は米金融業界の監督体制を抜本的に改革するもので、消費者保護庁の新設のほか、デリバティブ(金融派生商品)の規制強化や銀行の自己勘定取引禁止が盛り込まれている。 採決の結果は賛成59、反対39。下院は昨年12月に独自の法案を可決しており、今後調整作業が行われる。民主党のリード上院院内総務(ネバダ州)は採決後に、「この法律が成立すれば、ウォール街の無謀な行動に終止符が打たれるだろう」と語った。
  同法案には、破たんの危機にある大規模金融機関を清算するメカニズムのほか、米経済への脅威となる企業を監視する委員会の創設など、米金融業界に大きな影響を及ぼす措置が盛り込まれた。最も強硬な条項の1つは、銀行にデリバティブ(金融派生商品)部門分離を義務付ける案で、同案に対してはバーナンキ米連邦準備制度理事会 (FRB)議長が反対を表明しているほか、金融業界も激しいロビー活動を展開した。
  上下両院の交渉担当者の協議事項の1つは、デリバティブ条項となる。上院案がFRB内に創設するとしている消費者保護庁案も検討される。消費者保護庁には不当な融資を禁止する規則を策定し、実施する権限を付与するとされている。
5月21日(ブルームバーグ)

今回詳しい内容に関してはこちらがまとまっているようです(ただ、毎日猫の目のように内容が変わっているようですが、、)。

金融機関の方が気にされるのはいわゆる「ボルカールール(銀行のHF投資やPEファンド投資禁止、自己売買禁止)」といわれる条項。ただしこの条項は上院の案にしか入っておりません。今後上院と下院が法案を刷り合わせた上で、最後にオバマ大統領が署名し発効します。

で、今回争点となっている大きな点をいくつか。
まず上記にもありましたが、いわゆる「制度アービトラージ」といわれる、制度や監督官庁の隙間を狙ったような会社組織をふさぎ、監督官庁を連邦で一体化する、という点。さらに隙間になっている大手ヘッジファンドを登録制にして実態を把握できる体制にすること。

次にデリバティブの透明性の確保。これまでデリバティブのほとんどがOTC(Over the Counter)といわれる、相対取引で行われています。これはISDA(インターナショナル・スワップス・アンド・デリバティブス・アソシエーション)といわれる、世界的な銀行のデリバティブ担当者の集まりで、「銀行同士で取引をするときはこの契約を使いましょう」という雛形の契約書(マスター・アグリーメント)があることが大きい。この契約書が取引の土台となり、その契約書さえ合意していれば後は電話一本、コンファメーションといわれる簡易な書類一つで取引ができます。
ただ、このOTCデリバティブに関してはリーマンショック時にカウンターパーティリスク(取引相手が潰れるリスク)が顕在化してしまったことを踏まえ、この取引を取引所取引に移管すること。この意味はこれまで取引相手は例えばあるファンドのデリバティブの商品の売り手がゴールドマンで、価値が上がって利食いしてポジションを閉じた相手がJPモルガンだったりする場合があり、その場合エクスポージャーはなくなっても取引相手(カウンターパーティ)が破綻するリスク(カウンターパーティリスク)が残ります。ところが取引所取引では取引相手が必ず証券取引所になりますから*(その先にほんとの売り手・買い手がいますが、、、)、もし取引所で買って、取引所で売れば、完全に取引を終わらせることができます。
*まあこの場合証券取引所に巨大なカウンターパーティリスクが発生するんですけどね、、、(ただし、取引所は取引成立から数日で決済を行うため、断面断面でみるとカウンターパーティ・リスクは蓄積しては行きません。上場デリバティブ(先物など)も3ヶ月という期限が短いパターンがほとんどですし)。巨大資本をもつ銀行とあまりキャピタルのない証券取引所(そして多くの取引所は上場して利益は株主に還元してたりします)とどちらが安全か、一概にはいえないとも思いますけど。

また、スワップを行う部門を銀行から切り離せ!という条項もあったりします。(ただ、現状多くの会社がカウンターパーティリスク遮断のため、デリバティブブックを持つ子会社をもってたりしますので、そこにデイーラーを片寄せするんですかね)。

さらに金融機関破綻ルールの制定。現在TARPの記憶からか、「too big to fail(大きすぎてつぶせない)」と思われている金融機関に関しては政府がシステム保護のため大手銀はつぶせない>いざとなれば政府が救済するだろう>政府の暗黙の保証で、信用力アップ>調達金利低下となっていると目されています。もしこの適用を「しない」と法案で宣言してしまうと、暗黙の政府保証がはずれ、それを織り込んでいる格付けが下がる可能性があります。

シティなどは「もし格付けが下がると大変な資金が必要になる!」と警告してますが。
デリバティブ契約では、その取引を行うにあたって格付けの低い方が格付けの高いほうに担保を差し入れていますが、相手の格付けが悪化した場合、取引を打ち切ったり、割り増し担保を請求することができる条項がはいっています。
例えばシティが抱えているオフバランスのデリバティブ契約は天文額的金額になります。もちろん多くの契約が売り買いネット(相殺)されていますから、エコノミーとしては「ゼロ」と見えます(なぜこんなことになっているか、というと、OTCデリバの場合売りを行った相手と買いをしてヘッジした相手が違うと相殺できないため)が、格付けがさがると「グロス」の残をみて担保を確保しなければならない事態に陥ります。
一部の方が書かれていましたが、この「too big to fail」を否定する、ということは今後は「どんな金融機関でも潰れる可能性があります」といっているに等しい。つまり格付けが下がる>担保やらなんやらでさらに資金確保が必要***>外に出す金なんてネエ!ということで、デレバレッジ(貸し渋り)を引き起こすことになります。
***ここで注意が必要なのは担保は格付けが下がってしまうと一方的に売り買い両サイドに積み増さなければならない、という事。さらに格付けって上がるときはなかなか上がりませんが、下がるときはあっという間に数ノッチ下がってしまいます。

さらに調達金利が上昇しますので、確実に利ざやが減っていきます。もちろんイールドカーブ(利回り曲線)次第なのでなんともいえませんが、、(商業銀行の多くが短期資金調達(預金)でお金を調達し、長期貸し出しなどで資金運用をしている)。

ただ、ボルカールールを含め最終的な法案の姿はまだまだ全貌**が現れていません。
金融機関にとっては核爆弾クラスの法案ですから、関係者は息をつめてその行方を見守っていると思われます。
**ちなみに当初「そんなむちゃくちゃなことにはならんよ」とタカをくくっていた関係者もまさかここまで大変なことになるとは思っても見なかったと思います。しかし、老いたとはいえさすが老練なボルカー先生、法案実現にむけ押さえるべきツボはきちんとおさえている印象がありますな、、。
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by ttori | 2010-05-21 23:40 | News
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
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