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売り手と買い手(いろいろ追記しました)

SECがゴールドマンを提訴、CDO組成で詐欺的行為(Update2)
米証券取引委員会(SEC)は、米投資銀行のゴールドマン・サックス・グループを提訴した。債務担保証券(CDO)の組成と販売で詐欺的な行為があったと主張している。CDOは、大恐慌以来最悪となった金融危機の一因とされている。SECの16日の発表によると、ゴールドマンは2007年初め、米住宅市場が悪化するなか、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの価格動向に左右されるCDO「アバカス」を組成し販売した。この際にゴールドマンは、ヘッジファンド会社ポールソンがポートフォリオ内の証券の選択を手助けすると同時に、これらCDOの下落を見込む取引をしていた事実を開示しなかった。資産家ジョン・ポールソン氏が経営するポールソンは、この取引で10億ドルを稼いだが不正行為に問われていない。SECはCDOの組成にかかわったゴールドマンのバイスプレジデント、ファブリス・トゥール氏も提訴した。SEC法規執行局のロバート・クザミ局長は声明で「商品は新しく複雑だったが、欺瞞(ぎまん)と利益相反は昔ながらで単純だ」とし、「ゴールドマンは住宅ローン市場の下落に大きく賭けていた顧客の1人が、投資ポートフォリオに含める住宅ローン証券の選択に強い影響を及ぼすことを許した。一方で、他の投資家に対して、投資対象証券は独立した客観的な第三者によって選定されていると説明していた」と論じた。
4月16日(ブルームバーグ)

これ微妙ですな、、。
つまりこの証券(アバカス)はポールソンがサブプラ債権をショート(空売り)したいというニーズがあり>ポジション構築のためゴールドマンがサブプラCDOを組成し>当然買い手がいないとショートがふれないのでそのCDOを他の投資家に販売という流れだったとおもわれ。
その後ポールソンが目論見があたって大儲けしたので買い手はだまされた!という話になっていますが(買い手はABNアムロやIKB、、、って十分洗練された世界トップクラス(物事の裏側がわかっている)の投資家ですがな、、)、組成して販売した2007年ごろはまだポールソンの一般的な知名度はそんなに無かったはず*。そして多分結構多くのCDOがこうしたプロセスを通じて組成されたと思われます。ここでの「独立した第三者」の定義はかなり微妙です。そもそもこのCDO(アバカス)はポールソンとはマッタク関係ないと思われるACAマネジメントという会社がポートフォリオの選定を行ったとのことですし、今回ポールソンは提訴されていません(ただ、ACAがポールソンの意向をしっているGSの影響を受けなかったかは微妙。表面上はACAは独立しているでしょうし)。
*ちなみにこの証券を売った担当者が「この市場ダメポ」的なメールを送った、、って、2001年時のハイテクバブル当時の「くず株」メールを彷彿とさせますな。その時のトップバンカー・ソロモンのクアトロン氏は無罪判決をうけ、昨年から業界復帰、カタリストパートナーズという会社を設立して現在パームの売却案件などに関与しているとのこと。

今回ゴールドマンは「市場には必ず売り手と買い手がいる。もしこうした訴えを聞いていたら市場が崩壊する」みたいなことをいってます。確かにことCDOに限らず市場には必ず買手と売手がいて、価格が動けばどちらかが利益を得、片方が損をします。(ロング・ショートに限らず。価格が売買後上昇したら売手は儲け損なったとも取れるわけで。)

そもそも証券化商品がある特定の投資家のニーズにこたえる為に組成されてきた事も事実。例えばシンセティックCDOをロングした背後で必ずそこに含まれるCDSを売った(正確を期すならCDSプロテクションを買った)投資家がいるわけで。例えばある投資家が「この証券が欲しい!」というニーズがあれば買い手に必ず「この投資家が売り手ですよ」と伝えなければならない、とも取れます(逆もしかり)。ここでもしGSが組成についての責任を追及されるのであれば、それこそ「オリジネート&ディストリビュートモデル」は息の根を止められてしまうでしょう。

【追記】ちなみに今回提訴されたGSの方VP(バイスプレジデント)だったそうですが、VPを新聞で「部長」と訳されてますが、基本この業界ではVPは課長一歩手前の前線歩兵プラトーンです。

もう一つ書き加えると、これによってGSの瑕疵の有無を問わず商業銀行のステータスになっている銀行がファンド投資などを規制するボルカールール(金融規制法案)への援護射撃になる、という側面があります。GSはいざとなれば商業銀行ステータスの返上をもくろんでいるようですが、返上しても同様の規制をうけるよう(つまり抜け穴を防ぐ)な法案になるようです。プロップは分離なんてできない!とも反対してますが、多分多くの投資銀行でプロップと顧客フロー(自己ブックを使うものも含め)は物理的にも分離されていると思われます(顧客の多くがプロップに自分の売買情報を握られる事を嫌うため)。ただ、なんだかボルカールール、本質のリスクリターンの話とは離れてファンド=ハイリスクとひとくくりにしてしまっているのが気になります。ファンドの担保付(多くは現金担保までついてる、最近GSやJPモルガンはファンド向けプライムブローカー業務において、ファンドに対して証券担保ではなく現金担保の割合を増やしているとのことですが:つまりポジション持ちたかったら現金積め!といってる>レバレッジ比率を下げ)ポジションと、不動産融資とどっちがリスクが高いか、一概にファンドが高いとも言えないとおもいますけど、、。

【追記2】ついでに書くとどうもGSのトップ層に危機感が薄いというか脇が甘い感じがするのは私だけ?(神の仕事発言とか)。GSは「顧客第一」って業界の人間から言わすと「ちゃんちゃらおかしい」って感じ(儲からないから手を抜いているんでは?)かもしれませんけどね、、。
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by ttori | 2010-04-18 07:48 | Market(マーケット事件簿)
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
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