勝者。

為替ドル円90円!!!!
どうなってるんでしょうか、、。

f0005681_9385780.jpg愚者の黄金
ジリアン・テット(著),平尾 光司 (監修),土方 奈美 (翻訳)

前回の本は破綻したリーマン側から書かれたものですが、本書は今回の金融危機の”勝ち組”とされるJPモルガンを軸に今回の金融危機がどうしておこったのか書かれています。

まず、旧JPモルガン(現在のJPモルガンは旧JPモルガンとチェースマンハッタン、シカゴのバンクワンが合併した銀行)の若いスワップチームがCDS(クレジット・デフォルトスワップ)を産み出し、さらにウインターズ氏を初めとするメンバーがそのCDSからシンセティックCDOを組成するまでの話が書かれています。

そこでつらぬかれるのは 学術的ともいえるリスクに対するしっかりとした洞察と、新しい金融商品への深い理解。CDOについてはもっともリスクの無い部分(スーパーシニア・トランチェ)の処理に困り、積極的に手がけるのをためらう姿です。このCDSとCDOという市場がITバブル後の金融緩和と、ブッシュ政権の持ち家政策の後押しを受け、空前の大ブームとなり、お化けのような商品になっていく過程、その中で元々の営業基盤の弱さから旧JPモルガンがジリ貧となり、チェースマンハッタンと合併、その社風に違いに戸惑いながら、チェースの抱える住宅ローン債権の証券化を通じて徐々に他の金融機関と同じ泥沼にはまっていきそうになる姿がかかれています。

JPモルガンの元スワップメンバーの多くは「こんなに市場が大きくなるとは」と驚き、他社の連中はどうやってリスク管理を行っているのだろうか(特にスーパーシニアの処理)、我々はリスク管理を間違っているのではないか、と思い悩む姿が描かれています。もちろん他社はそんなリスク管理を行っていたわけではなく、債券トレーディングなどで空前の利益をたたき出したゴールドマンを見て、一斉にリスクに対する姿勢を変容させ、リスク管理など無きに等しい姿勢になっていく姿が描かれています

そしてJPモルガン・チェースの大きな転機となったのが、シカゴのバンクワンとの合併とそれに続く、ダイモンCEOの就任。ダイモンCEOがリスク管理を徹底させ、徐々にリスクに対する姿勢を変化させます。(これはことJPモルガンに限らず、サブプライム問題に気がつき、全社でロングからショートに転換させたゴールドマンやリスク管理を徹底したドイチェ銀行などの姿勢も指摘されています。)
特にダイモンCEOはディテールまで詳細に把握し、金融業に対する過度な幻想も抱いておらず、デリバティブについても深い知識とリスク管理への徹底した志向をもち、その姿勢を貫く意思をもっていたこと(当社はゴールドマンの亜流にはならない、と)。

そしてCDOなどに過度に依存し深みにはまった多くの金融機関(UBSやシティなど)の実態がサブプライムローンのデフォルト率が上昇を始め、地価が下落が始まりCDOが急速に価格が下落しはじめて初めて公表されて、旧JPモルガンのメンバーにショックが走る姿が描かれています。メンバーが処理に困り、AIGに頼ったスーパーシニア債を多くの会社が自らのバランスシートに残したままにしており、さらに暗黙の保証をつけた上でSIVに引き取らせて、”飛ばしていた”ことがわかります。

最後は危機が深刻化する中、モーゲージに強かったベア・スターンズが破綻するまでの過程、最後にリーマン破綻時の事が書かれていますが、どちらかというとつけたし、終着点というイメージが強いです。

ここでも結局「わからないものに手を出すな」という鉄則がきちんと貫かれたかどうか、商品やマーケットを理解し、リスク管理ができるトップであったか、という点を強調されています。

何はともあれ、下記(金融大狂乱)と読み比べると勝者と敗者を分けたものはトップのリスクに対する姿勢なんだな、というのがわかります。そんなに難しい単語が出るわけでもなく、さらっと読める、面白い本ではないでしょうか。
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まだ日本語訳されていない本ですが、紹介を呼んで面白かったので。
f0005681_9484364.jpg
"TOO BIG TO FAIL" by Andrew Ross Sorkin
こちらの記事(モルガンに軽んじられた三菱UFJ)から。

本書は金融危機の内側を書いた本の一冊ですが、下記の記述が興味深かったので。
三菱UFJがモルガンに90億ドル出資する際、祝日で銀行送金ができなかったため、小切手でモルガンに手渡した話は有名ですが、その現実。
(ここから上記サイトの引用)
本書によると、このとき、モルガン・スタンレーのロバート・キンドラー副会長が、ニューヨークの法律事務所のオフィスで、三菱UFJ側から小切手を受け取ったのだが、そこでは滑稽な光景がみられた。出資の土壇場での条件変更などに対応するため、急きょ旅先から戻って徹夜で対応にあたったキンドラー副会長はリゾート服にサンダルという格好で無精ひげをはやしたまま、13日午前7時半に法律事務所の会議室に座って、三菱UFJ側が来るのを待っていた。
(中略)
「キンドラーは三菱UFJの下っ端の職員が小切手を持ってくると思っていた。ところが、法律事務所の受付から次のようにしらせてきた。三菱UFJの幹部たちの一団が、きちっとしたダークスーツに身を包み、ビルのロビーにちょうど到着し、いま上の階に向かっていると。キンドラーは困惑した。ビーチの遊び人のような格好をしていたからだ。廊下を走って弁護士の一人から急いでスーツのジャケットを借りた。しかし、前のボタンを閉めた時に服が裂ける大きな音がした。背中の縫い目が半分、裂けてしまったのだ」 「三菱東京UFJ銀行のナカジマ・タカアキ(中島孝明・米州本部米州企画部長か?)が、6人ほどの同僚たちと一緒に到着した。取引完了のセレモニーがあると思って。 『あなたが来るとは知りませんでした』キンドラーは申し訳なさそうに、呆然としている日本人に言った。『そうと知っていれば、(CEOの)ジョン・マックを来させたのですが』中島は封筒を開け、キンドラーに小切手を差し出した。そこには『モルガン・スタンレー宛90億ドル』とあった。キンドラーは小切手を両手に持ち、半ば信じられない気持ちで、これまで一個人が実際に手に触れたお金としては史上最高額となるはずのものをしっかりと握った。モルガン・スタンレーが救われたことをよく分かっていた。
同席した何人かの日本人は、小切手に記された目の玉が飛び出るほどの金額をうまく画面におさめようと、写真を撮り始めた」
 カネを出してもらって急場をしのぎさえすればそれでいい、と割り切っているモルガン・スタンレー側と、世界を代表する金融機関へ出資できて喜んでいる三菱UFJ側の間に横たわる溝と温度差の大きさを象徴するシーンだ。
(ここまで)

なんだか寂しい話ではないでしょうか、、、。
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by ttori | 2009-12-05 09:36 | 本 / CD / TV
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
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