ねずみ

巨額詐欺事件のマドフ被告に禁固150年の判決
 ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米ナスダック・ストック・マーケット(現ナスダックOMXグループ)元会長のバーナード・マドフ被告(71)は29日、巨額詐欺事件の裁判で禁固150年の判決を受けた。この事件は、最近では規模が最も大きく長期にわたるもので、マドフ氏は3月に事件への関与を認めていた。
(中略)マドフ氏は昨年末に逮捕され、今年3月12日、証券詐欺、郵便詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)など11の罪を認めたことを受けて直ちに拘置所行きを命じられた。同氏は数十年にわたりネズミ講のような手口で、数千人の投資家から数十億ドルをだまし取った。
(中略)これまでのところ、裁判所が選任したBMISの管財人は、1341人の口座保有者が推定132億ドルの損失を被ったことを確認しており、12億ドル余りを回収した。ソーキン弁護士は、集めた金の大半はほかの投資家への償還に充てたとし、「入ってきた金は出て行っていたということだ」と述べた。
(ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル):Nikkei Net)

今回マドフ容疑者が行っていたのはポンジースキームと呼ばれ、日本ではねずみ講(無限講)と呼ばれるものです。
簡単にポンジースキームを説明すると、
例えば、窓腐キャピタルという会社が、Aさんから年率100%!という利回りを約束して100万円預かるとします。でも窓腐キャピタルは運用能力がない会社でした。1年後、Aさんへの支払いのために別のBさんから同じく100万円預かり、Aさんに200万払います。
次の年、Bさんへの支払いのためにCさん、Dさんから100万づつ預かり、Bさんへ200万渡します。さらに次の年はCさん、Dさんへの支払いのために別の4名から100万づつ預かり、、、ということを繰り返します。

ポイントは2つ。1つ目は後から入って来る人がいればこのスキームは存続する、とういうこと。
2つ目は初めに入った人(ここではAさんやBさん)は年率100%!というリターンを実際に得ている、ということ。
今回マドフ容疑者は最終的に5兆円まで膨らしたそうですが、普通に考えれば累計で2~3兆円近いキャッシュインフローがあったと思います(厳密には計算していませんが、、)。ところがマドフ容疑者が捕まったとき、彼の周りには数百億程度しかなかったとのこと。上に書きましたが、残りの金はどこかにペイアウトしたとかんがえられます。そして、早くにペイアウトした人にとってはこのマドフ容疑者はまさに”天才キャッシュマネージャー”だったに違いありません。ただ、その”初期の投資者”が誰だったのか。

さて
このポンジースキーム、日本では”無限講”として、”無限なぞなく、いつかは破綻するスキーム”として法律で禁止されています。が、このスキーム、どこかでよく見る仕掛けだと思いませんか?


そう、国民年金のスキームです。
もちろん国民年金のほうは”割賦賦課方式”という名前を使っていますが。(<間違えてましたので訂正しました)
最近よく”かつては4人で1人の老人を支えていたが、少子高齢化で将来2人で1人を支える”必要がある、とか言われます。実はこれっておかしな事です。
一般的に保険などは自分が積み立てたお金を運用し、それを元手に将来の年金のペイアウトが行われます。ところが現行の国民年金は今の老人への支払いは、現在はまだ給付を受けていない若い世代が支払った年金のお金を老人への支払いに当てています。まさに上に書いたスキームとまったく一緒です。そしてそれがために”若い世代の”未納付が問題化するのです(もし積み立て方式であれば自分の積み立て自分の給付の問題で完結する)。もちろん上のスキームでは人口構成がピラミッド型であれば、問題は起きないでしょうが。

いろいろ調べると、設立当初、国民年金は積み立て方式を志向していたようです。ところが、70年代あたりから、将来の年金給付を増やす一方で、国民に不人気な納付金の引き上げは先送りが繰り返され、その結果として賦課方式へ移行していったようです。
つまり目先の利益(選挙とか)をとって負債を将来に先送りした結果です。(そして賦課方式を使ったことにより、目先の運用努力やコスト削減がおろそかになり、無駄な施設をたくさん作ったり社保庁という腐った組織をつくった遠因になったと思います)


ええ、この構図、最近どっかで見ましたね。
そう、GMです。
かつてGMは目先の労務費の増加を嫌って、UAWとの交渉で賃金を引き上げる代わりに年金給付を増額する、という手段を使い、短期のキャッシュや利益を極大化させようとしました(現在は年金債務はP/LやBSに乗せることが多いのでそこまで露骨なことはできませんが)。その結果徐々に増えていった退職者向けの支払いにキャッシュフローを圧迫され、新規の投資が限られ競争力を失い最終的にBSに巨大な穴があいて、破綻しました。しかしながら、GMもどれだけ債務が増え累積赤字が増えても、金融危機でオバマ大統領が引導を渡さなければしばらくは存続できたと考えられます。

そして日本でも同じ構図が考えられます。国民年金は現在100兆近くあります。少子高齢化により納付金は減り、一方で払い出しは増えていきます。確かに税金を使いキャッシュフローをまわしてやれば、どれだけ穴が開こうとも、制度自体は存続すると思われます。しかしこうした年金支払いの金額が増えれば、その財源が必要となります。この財源のため教育費や科研費をへらしたり、増税により国民の消費や企業の活力を削げば、日本という国もGMと同じ道を進んでしまうのではないでしょうか。
GMの黄金時代は70年代。そして日本の黄金時代は80年代。10年後に日本国家破綻というニュースを見る日がこないことを祈る。
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by ttori | 2009-06-30 21:54 | News
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