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ハイファイナンスの終焉

米AIG、仏幹部2人辞任でデリバティブ取引のデフォルトも
米紙ウォールストリート・ジャー ナル(WSJ、オンライン版)は25日、米保険大手のアメリカン・イ ンターナショナル・グループ(AIG)が、2340億ドル相当のデリバ ティブ(金融派生商品)取引でデフォルト(債務不履行)に陥る可能性 があると報じた。 同社のファイナンシャル・プロダクツ部門の子会社で パリに拠点を置くバンクAIGで 幹部2人が辞任したため。事情に詳し い複数の関係者とAIGが米財務省に提出した書類を基に伝えた。
辞任したのはマウロ・ガブリエル氏とジェームズ・シェファード氏。
AIGは後任を探し、フランスの銀行監督当局の承認を得る必要がある。
それが不調に終われば、当局が管理者を指名する可能性もあり、その場合デリバティブ契約に定められた管理者の変更条項に関係したデ フォルトを招く恐れがある。
WSJ[09/03/26]

まさかこれでデフォルトして全てのデリバティブ清算(クロスデフォルト)>これまでのバーナンキFRB議長、ガイトナー長官の苦労が水の泡、、、って笑える展開にはさすがにならないとおもいますけど。

NYではクオモ司法長官が「CDSが元凶ならその流れを全て調べるべきだ!」みたいな事をいってAIGから資料を請求してます(そしてスケープゴートにされているAIGからは従業員が逃げ出しています)。そして大きな流れとしてもっと影響が多いそうなのが、ガイトナー長官のノンバンク等の監視・規制法案と、ヘッジファンドやPEファンドを狙い打ちにした租税法改正(HFの収入源の一つ、アップサイドオプション(運用のプラスリターンの20%を運用者がもらう)のに対する課税強化)。
どちらもレバレッジの縮小を促す結果となります。
(実際、アメリカのノンバンクの代表格であった投資銀行で生き残ったゴールドマンとモルガンスタンレーが米財務省の監視下である銀行ステータスを取ったため、そのレバレッジが急速に縮小しています(30数倍から十数倍まで一気に縮小)。その結果、彼らがファイナンスをしてあげていたHFなどの資金繰りが苦しくなり、多くの市場で投売り>市場がめちゃくちゃに歪んでるところが未だ散見されます。とはいっても多くのHFはそんなにレバレッジをかけてはいないんですけど。レバレッジをかけていたのはアービトラージ系HF。どっちかというと投資銀行などのプロップデスクのポジションクローズのほうが影響が大きいと思われますけど。bloombergにはモルガンスタンレーはプロップデスクを1つを除き全て閉鎖、とかプロップデスク閉鎖の話題に事欠きません。)

マネタリスト・フリードマン教授の過去の大恐慌研究では、マネーサプライの縮小が大恐慌からの回復を妨げた、という説がもっとも支持されてたと思います。が、現状で考えるといくら中央銀行がマネーを供給しても、その一方でレバレッジを縮小しては結局マネーサプライ縮小と同義で、元も子もないと思いますが。まさかそんなことわからないとも思えませんが。
一生懸命マネーの供給元・銀行のバランスシートをよくしようとしても、その供給先を絞ったら意味ない気が。

アメリカの人は過去の経験があるから、日本のようにはならない、と豪語している人が多いですが、なにごともやりすぎ、騒ぐだけ騒いで、かき回すだけかき回して、後始末がとっても下手なアメリカ(イラク戦争など典型)、大丈夫でしょうか。

さらに「今最もアメリカで競争力のある産業である金融を弱めるほうに進んでいる今のアメリカは、将来何で飯を食べていくんだ」という声。

サブプライム危機に始まった今回のリセッションは、20世紀システムのもっとも大きな特徴、アメリカ帝国の”終わりのはじまり”なのでしょうか。
by ttori | 2009-03-28 17:31 | News
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小さな窓から見上げると曇り空でも、外に出ると意外と晴れてるもんだ。
by ttori